第2話

「私、考えたんです。まだ、私のことを知ってもらってないって。だから、美咲先輩!私とデートしてください!」


「デートって……私、君のこと全然知らないし、急にそんな事言われても、困るな」


「知らないからこそです!美咲先輩の行く場所に付いていくだけでも構わないです。お願いします!私とデートしてください!」


「わかった、わかったから。私、今日シモキタ行こうと思ってたから、付いて来てもいいよ」


「え、ホントですか!ありがとうございます!じゃあまた、放課後!」


「やっぱり、美咲さんは押しに弱いですね。グイグイこられると断れないから~」


「あー、なんでこんなことになっちゃったかな…」


「いいじゃんか!美咲、スラっとして男の子みたいだし、女の子にモテても仕方ないよね!」


「どういうこと?バカにしてるよね!」


「してませーん!」


「はぁ……でも、どうして私なんだろう?彼女も私のことあまり知らないだろうし。葵みたいに人と話すのも上手くないし、友達も少ないし。なんでなんだろう」


私のことよく知らないで"好き"なんて勝手じゃないか。その"好き"は偽物ではないか。でも、さっき見た彼女の瞳は真っ直ぐで美しくみえた。


「そんなことないよ!美咲は隣で歩いているだけで目立つし……美咲は自分を卑下しすぎだよ」


「え?」


「だから、自分のこと下げるようなこと言わないで」


「わかったよ。気をつける」


「うん」


なんだかモヤモヤする。授業中、あの真っ直ぐな瞳と葵の言葉が頭を離れず集中できなかった。

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