第2話
本当に恐ろしいものは何なのだろう。人によって変わるこの問い。地震などの自然災害・お化けなどのオカルト、人それぞれの返答があるだろう。しかし、本当に恐ろしいものはわからないことである。それが何なのかわからないものこそが恐ろしいことだと思う。
ある春の日のこと、ピンポーンとインターホンが鳴る。インターホンを確認すると、そこにいるのは、20代後半から30代くらいに見える一人の男。彼は「こんにちは、配達物ですよ!」と言う。怪しい。服装も配達員といえるものではない。黄色い帽子に赤いマント、白いTシャツ・短パンという見るからに変質者だ。特に何かを注文した覚えもないので、無視することにした。
しばらく無視をしていると何度もインターホンを鳴らしてきた。「こんにちは、配達物ですよ!」と何度も、何度もドアの向こうから聞こえる。さすがに近所迷惑になると思い「はーい!あの、何も注文していないので、家間違えてますよ」と言う。すると彼は「おかしいな♪ここで合ってるはずだよな♪」とその場でスキップしながら言う。不気味すぎる。明らかにおかしいその人が怖くなり「あの警察呼びますよ」と警告する。その瞬間、彼は真顔になって「配達物置いときます」と言い、最後にニヤッと口角をあげる。怖すぎる。とにかく誰かに来てほしくなり、いつも遊ぶときに使うグループチャットに今すぐ家に来てほしいと書き込む。
しばらくして、友達のA・B・Cがやってくる。Aの手には、あいつが配達物と言い持っていた段ボールがあった。Aは「お前、荷物届いてたよ!置き配にしといたのか?」と言う。俺は、怪しい男が来たことなどを細かく説明する。聞き終わった後、Bが「怖いな、警察に話した方がいいんじゃないか」と提案してくる。俺は「でも対応してくれるものなのか?こんなわけわからないことを」と答える。確かにとみんなで困っていると、Cが「とりあえず、段ボール開けてみない?入ってるものによっては、警察も対応してくれるかもよ!」と言う。みんな賛同し、段ボールを開けてみる。中身は空だった。あわてて、段ボールに何かついてないかなどを確認する。しかし、段ボールには伝票もなにもついていない。ただの段ボール。
あの春の出来事は何だったのだろうか、わからなくて恐ろしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます