第30話 中年主人公ファンタジーを考える

こんにちは、真野てんです。

ちまたでは中年主人公の作品がけっこう幅を利かせてますが、リアル中年であるところの我々は就職氷河期で人生を狂わされたまま、ただただ年を食ってるだけのしょうもない生き物であるため、台頭する若い勢力に対して、経験に裏付けられた洞察力だったり、いやらしい駆け引きだったりで年季の差を見せつけることもなく、年々、調子の悪くなる重い身体を引きずって余生を生き延びるしかないですね(一文が長い上に内容が悲しい


とまあ悲しい現実はとりあえず横に置いておいてですね。

「おじさん」というアイドル化されたキャラクターが、これまで実直に仕事をこなしながらも特別な能力を持っているわけではないので、あるランクになった途端に仲間から解雇通告を食らい途方に暮れていると、実直な仕事ぶりがある種の「異能」として、新たな仲間に評価をされてもう一度輝くために発起する――というのが多くの中年主人公モノのアウトラインだと思うのですが、やはり想定読者は同じく中年男性なんですかね。


これまで使い捨てにされてきた自身の境遇を、親と子ほど年の離れた若者(多くは女子)たちから憐れまれ、行動を共にすることで頼られる。

リストラ後に派遣で入った企業で、年下の上司にいびられながら新しい仕事を覚えていく過程で若いOLさんに励まされるみたいな感じでしょうか。しかしおじさんは優しくされるとすぐに好きになっちゃうので、下心を隠すのが大変です。脂ぎった笑顔ひとつでもセクハラと捉えられかねません。どうしろっちゅうんじゃ(ぁ


ジブリ作品「耳をすませば」で、主人公・月島雫は自身の執筆した処女作を、天沢聖司の祖父である地球屋の老主人に読んで欲しいと懇願します。不安で細い身体を震わせながら、おじいさんが読み終わるのをいまかいまかと泣きながら待っている。

最初に観たときはいいシーンだなと思ったんですが、いま考えると非常に気持ちが悪い。

おじいさん=宮崎駿なので、若い才能(少女)が自分を頼って、自分が好きな男の子よりも先に自分の作品を、しかも処女作を読んでくれと持ってくる。しかも不安にさいなまれ目に涙を浮かべながら。

そういう老人の願望なんだよね、このシーン。まあそれだけの話だから、それがどうという話ではないんだけど。おじさん主人公ファンタジーの中核を成す概念かなと思ったので、あえて言及させていただきました。誤解されると嫌なのでアレですけど、好きな作品です(日和った


哀愁だけではエンタメにならない。だからこそプラトニックだけどハーレム状態みたいな追加ギミックが必要なんでしょう。

いいよね、無条件にしたってくれる若い女の子。でも恋愛するのは、しりのでっぷりとした弁当屋の女将さんみたいな。

加齢臭まで愛して欲しい(ぁ


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