第8話 刺さる渋めの漫画『路傍のフジイ』

こんにちは、真野てんです。

『路傍のフジイ ~偉大なる凡人からの便り~』という漫画にハマっております。

週刊ビッグコミックスピリッツに掲載の青年漫画で、マンガワンという漫画配信アプリなら日に数話ですが無料で読めますので気になりましたらお試しください。


本作の主人公である藤井さんは40代の非正規サラリーマンで、容姿はお世辞にも優れているとは言えません。また感情をあまり表に出さず、人間関係の立ち回りも上手ではないので、他人から距離を置かれる、口悪く言えば完全に舐められているタイプのひとです。


そんな彼とひょんな縁から次第に親しくなってゆく数名の同僚の目線から物語は紡がれていき、「つまらない人生を送っていそうな孤独なおっさん」がどんどん魅力的に映っていくのです。


詳細は本作までって感じなんですけど、X(旧Twitter←この注釈もいい加減めんどいね)で流れてきた広告漫画で目にした時から妙に刺さってしまって配信アプリで追っかけました。


他人の目を気にしない――というのともまた違うニュアンスなんですが、本作の主人公である藤井さんは実に自由人です。多くの趣味を持っていますが、どれも極めようとしている訳ではなくやりたいことが多すぎて人生短い、みたいな感じ。

主義主張も言葉にこそしませんがゆるぎないものを感じます。それでいて他人に押し付けない。


人間関係において、とくに恋愛感情が多少なりともある場合。

相手から求められない、わがままを言われないというのはある意味で不安になったりもしますよね。自分と一緒にいて楽しいのかが分からない。

とにかく表情や態度にそうした機微が出ないひと。それが藤井さんです。

だから非常に誤解も生みやすい。


そんな主人公が何でこんなにも刺さるのか。

おそらく自分の中にも、どこか藤井さんのような精神性があり、また憧れがあるのでしょう。


生命保険屋さんが持ってくるような人生設計を幸せとするひともいれば、藤井さんのように独り身だからといって孤独でもなければ不幸でもないひともいる。

そういう人間に私はなりたい、ではありませんが、幸せの基準を押し付けないで欲しいという鬱屈とした気持ちに藤井さんがカウンターを食らわせているようで爽快なのでしょう。

まあ藤井さん本人にはそんな意図すらないのですが。


久しぶりにこういうお話の作り方もあるんだなと参考になった漫画のお話でした。

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