ドリームエスケープ

 深いデジタルの森を抜けると、二人は突然広がる開けた空間に出た。


 そこはヴィスタスフィアの新機能、"ドリームスケープ"の一部だった。


 空はオーロラのように色とりどりに輝き、地面はまるでクリスタルのように透明で、足元から見える地下の世界は神秘的な光に満ちていた。


「すごい…こんな場所があったなんて知らなかったよ。」


 アレックスは息を呑んだ。


 ジェイミーは嬉しそうに笑った。


「ここのことは誰にも教えてないんだ。僕たちだけの秘密の場所にしよう。」


 二人はドリームスケープを探索し始めた。


 奇妙な形をした岩が立ち並ぶ洞窟を抜け、光り輝く川を渡り、最終的には高い丘の頂上に立った。


 そこから見下ろす景色は息をのむほど美しかった。


「ジェイミー、これはすべてプログラムされた世界だけど、ここで過ごす時間は本当に価値があるよ。」


 アレックスが静かに言った。


「うん、僕もそう思う。でも、ねぇアレックス、たまにこのすべてがどうやって作られているのか、本当に安全なのか不安になることがあるよ。」


 ジェイミーの声には少しの不安が含まれていた。


 アレックスは深く考え込んだ。


「そうだね、僕も考えたことがある。でも、ここはただ楽しむ場所だと思ってた。」


「あのね、実は…」


 ジェイミーが言葉を切り出したが、その瞬間、彼らの周りの景色が突然変わり、二人は再び普通のデジタルの森に戻っていた。


「えっ、何が起こったの?!」

 アレックスが驚いた。


「わからない…でも、これって何かのサインかもしれない。もしかしたら、ヴィスタスフィアには僕たちが知らない何かがあるのかも。」


 ジェイミーの表情は真剣そのものだった。


 二人はそれから、ヴィスタスフィアの背後にある真実を探る決意を固めた。


 彼らの友情はこれから始まる冒険を通じて試されることになるが、その絆はそれまでにないほど強固なものになっていく。

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