2人の絆(一般書架)

すぱとーどすぱどぅ

ゲームアップデート

 空は高く、雲一つない夏の午後、アレックスは自室のデスクに座り、ノートパソコンの画面を凝視していた。


 画面上では、仮想現実プラットフォーム「ヴィスタスフィア」のログインページが彼を待っている。


 耳には最新型のVRヘッドセットを装着し、指には感触をリアルに感じ取れるグローブをはめていた。


「よし、行ってみようか。」


 アレックスは息を吐きながら、ログインボタンをクリックした。


 瞬間、彼の視界は変わり、自分が一面の電子的な森の中に立っているのに気付く。


 木々はデジタルの光でできており、葉っぱはデータの流れを模しているように見えた。


 そして、目の前にはジェイミー立っていた。


 ジェイミーはアバターで、青い髪に緑色の瞳を持つ、アレックスの最近できた友達だ。



「アレックス、やっと来たね!」


 ジェイミーの声がヘッドセットから響き渡る。


 アレックスは笑みを浮かべた。


「うん、待たせてごめん。この森、新しいアップデート?」


「そうだよ。見ての通り、かなりアップデートされたよ。ここを散歩するのは、まるで別世界にいるみたいになってたかな。」


 二人はデジタルの森を歩き始めた。


 木々の間を流れる風の音、足元に感じる苔の感触、遠くから聞こえる水のせせらぎ。全てがリアルに再現されていた。


「君とこうして話すのは、現実世界よりもリアルに感じるよ。」


 アレックスが言った。


 ジェイミーは頷いた。


「私も同じ感じがする。ここでは、外見や距離に縛られずに、心から交流できるからね。」


「でも、ふとした瞬間に、これが全部仮想だってことを思い出して、ちょっと寂しくなることもあるよ。」


 アレックスの声には少しの寂しさが混じっていた。


 ジェイミーはアレックスの方を向いて、温かい笑顔を見せた。


「それでも、私たちの友情は本物だよ。デジタルの世界で出会ったとしても、感じることのできる絆は現実のものだから。」


 アレックスは心からの笑みを返した。


「そうだね、君がそう言ってくれると、確かにそう感じるよ。」


 二人はさらに深い森へと歩いていった。


 周りのデジタル世界は彼らに無限の可能性を提供しているように見えた。


 しかし、彼らがまだ知らなかった。


 この仮想現実の背後に隠された秘密と彼らの友情にもたらす試練を……。

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