第14話

 案の定、圭子は僕に土地のことを話してきた。相続権を盾にして当然のように主張してきた。僕は今度ははっきりと返した、「姉さんは父さんの遺産の大部分をつかってしまったじゃないか、遺族年金と退職金はほとんど姉さんがつかったじゃないか」すると、いつもは淡々と話す圭子が感情をむきだしにして「あなたが黙っているから承諾しているもんだと思ったのよ、主張しないあなたにも責任があるわよ、」僕は相変わらず呆れて「じゃこれからはっきりしよう」と悔しさに堪えながらも答えた。

「姉さんは相続財産の半分以上はつかってしまったんだから本来はもう取り分はないけれど、売れる土地が100坪あるからそれをあげるよ、そのかわり実家から出て行ってほしい。」

 ケイコは不満そうな顔で「あなたが一人なんだからあなたが出て行ったらいいんじゃない。」「じゃ姉さんがこの家を継ぐというのか」ケイコは憮然とした態度で「どうせあなたは一生独身でしょう、家なんかいらないしあなたが継いだってこの家は絶えてしまうでしょう」僕は2の口が出ずそれ以上の会話をつづけるきにはなれなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る