第11話

誠治は医師の紹介で転院をした、そこはリハビリ施設もあり、長くいられるということだった。また、同じ敷地内に老人ホームもあるので、そちらへの転院も可能だということでさらに安心をした。

 いつ治るかもわからない闘病生活がはじまった。

圭子は週3日のペースで病院へいった、特に洗濯物が多くたいへんだった、のんびり生きてきた圭子には地獄のような日々だ。

 誠治の様態は一向に変わらずただ時が過ぎていくばかりだった。

圭子は最近、(なるようにしかならないから)と自嘲して、ひらきなおりの態度をみせていた。「私が困っているのだからみな協力するのはあたりまえでしょう」と、周りの者に当たり散らしていた。幸いおかねと家があったで圭子を気丈に振舞わせていた。

 その後、僕は圭子を心配して誠治の実家に行き協力をお願いした、すると誠治の実家の兄である長男は「私どもは誠治をお宅へ婿にあげたようなものだから」と一向に取り合わなかった。長男の態度は、誠治はお宅のために一生懸命働いてきたんだろうと言わんばかりだった。

 僕は呆れて2ノ口が出ず早々に帰った。

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