第9話

 誠治は救急病院に運ばれて直ちに検査を受けた、暫くすると医師がICUから出てきて「ご親戚の方に連絡した方がよいかもしれません、朝までもたないかもしれません、脳の出血がひどいです、経過をみるしかありませんね」といいい医務室へ戻ってしまった。

 皆、眠れない夜を過ごした。朝9時頃、脳外科の医師がきて、「まだ可能性はありますから手術をやってみます。しかし、一命をとりとめても植物状態です」

 その日の夕方に手術は終わった、一命はとりとめたが、やはり植物状態でいつ目を覚ますか分からない。

親戚の者もみな帰り、あとは経過を見守るしかなかったので家族が残り、時間との対峙になった。

 目を開けない日々が3週間続いた。

 4週目に入った朝、誠治は大きく目を見開いた、頭を横に振りながら周りを必死に見ようとしているが焦点は虚ろだ、圭子が耳元で呼びかけたが反応はない、実際は見えていないのかもしれない、しかし圭子は嬉しくなり何度も呼びかけた。

 医師が駆けつけ、誠治を診察した。医師は圭子に「まだですね、」と顔を横に振った。

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