第8話

 誠治は相変わらずマイペースで、暇な時間は囲碁将棋のクラブに入り浸っていた。また夕方になると大抵は行きつけの居酒屋にいた、勤め先の学習塾は辛うじて通っている程度だった。

 ある晩、誠治は塾の仕事が早く終わったのでめずらしく家にいた。

自分の部屋に酒を持ち込んで囲碁将棋の本を読んでいた。

夕食の準備ができたので娘の明子が部屋に呼びに行った。

 誠治は横になり背中を見せていた、明子が何度呼んでも返事がない、

明子が変に思い父親の顔を覗き込んだら口から泡を吹いて目をむいていた。

明子は大声でさけんだ「お母さん大変だよ、お父さんが変だよ」

圭子が駆けつけると明子はおろおろと泣き叫び「おじさんも呼ばなくちゃ」と訳の分からないことをもごもごと言っていた。圭子も『早く呼んできて」と息の詰まるような声をだした。

  僕は(また、おじさんか、しょうがないな)とおもいながら、しかたなくかけ駆けつけるとたいへんなことになっていた、「はやく救急車を」とケイコにどなった、声を詰まらせながら「あなたがかけてよ」と他人ごとのように叫んだ。

 

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