第6話

 それからの圭子の生活には目にあまるものがあった。

朝、辛うじて世間並みに起きるのは子供の学校のためにだけ起き、休みの日は大抵お昼頃起きた。

 圭子は元々家事が苦手なので夫の食事の心配以外はほとんど無頓着だった。僕がたまに家の中をのぞくと部屋の中は物が散乱していてごみ屋敷になる予感をさせていた。僕が「たまには掃除をしたら」というと圭子は不愉快そうに「べつに死ぬわけじゃないから」そっけない返事だった。

 僕は最初のうちは圭子や幼い子供たちがかわいそうで何も言わなかった、しかし最近は子供たちが武夫に向かって「どうしておじちゃんはここにいるの、」なんて邪魔者扱いすらしてくる、おそらく圭子がここは自分の家だよって強く言い聞かせているようだった。

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