第3話

 誠治が仕事に出かけた日、圭子は子供を連れて実家に向かった。この時点で圭子には子供が2人になっていた。7歳の長女、明子と5歳の長男、太一を両手で引っ張って背中にはリュックを背負い、田舎へ疎開するスタイルだった。圭子は何の疑問も持たずひたすら実家をめざした。実家に行けばすべてがうまくいくと思っていた。

 圭子は久々に実家の玄関の引き戸を引いた、「ただいま」大きな声を出した、何の返事もない、(そうだ、弟は離れに住んでいる、母屋には誰もいないのだ)圭子は子供と家に上がり込んで(ここは私の家なんだ)と実感した。

 圭子は何の迷いもなく荷物を放り投げると冷蔵庫をのぞいた、飲み物と冷凍食品が入っている。(今夜の食料は間に合いそうだ。数日は何とかなりそうだ) 明日は母親のところへ行ってお金の話をしようと思いながら夕食の準備に取り掛かった。

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