第2話返事したけど…後日…動く
元恋人九人に適当な返事をすることを決めた。
「元気だよ」
「そっちはどう?」
「久しぶりだね」
「調子どう?」
そんな適当な返事をして本日も職場へと向かう。
「猛者こそ元気?返事遅かったけど…」
「最近はどうしているの?」
「今彼女居るの?」
「結婚してないよね?」
返事が再び届くと僕はうんざりするような気分に駆られていた。
一度終わった相手と復縁する気など微塵もない。
それなので僕は再び適当な返事をする。
「忙しくてね。ごめんね」
「仕事三昧だよ」
「彼女は居ないけど彼女にしたい人はいるよ」
「結婚はしていないよ。その予定もない」
スマホをポケットにしまうと通勤時間を利用して少しだけ眠りに着く。
正味三十分ほどの仮眠に成功すると会社の最寄り駅で降りる。
出社してすぐに同期の女性である三郷ききに声を掛けられた。
「おはよう。明日楽しみだね」
そんな言葉を投げかけられて僕は机の上のカレンダーに目をやる。
「あぁ…今日は金曜日か。楽しみにしている」
「何?曜日感覚バグった?」
「あぁ。仕事し過ぎかもしれない」
「なるほど。残業はそこそこにしてしっかり休みなよ?」
「ありがとう。そうするよ」
「じゃあこれあげる」
そうして三郷ききはコンビニで買ってきたであろうエナジードリンクを一本僕に手渡してくる。
「マジで助かる。今日はちょい眠かったんだわ」
「でしょうね。見れば分かるわよ」
「そんなに酷い顔してる?」
「顔っていうか。くまが凄いわよ」
「マジか。帰ったら速攻寝るわ」
「そうしなさい。明日は遅刻しないでよ?」
「了解」
三郷ききとの会話を終えるとパソコンの電源を入れて業務へと励むのであった。
「先輩〜っ♡」
いつものように後輩である深田まなが僕のデスクを訪れては昼食をともにしようとしていた。
「どした?」
「今日もお昼一緒していいですか?」
「あぁ。もちろん。今日も外だけど…良いか?」
「もちろんですっ♡」
僕と深田まなは外の定食屋へと向かうと安値の日替わり定食を注文していた。
「そう言えば返事したんですか?」
「あぁ。うん。適当にだけど」
「ですか。何でしたんですか?」
「何でだろう。無視するのも…何か意識しているみたいじゃない?」
「それもそうですね。どんなチャットをしたんですか?」
「本当に適当だよ。来たものに返すみたいな感じ。こちらから話題を提供することは無いよ」
「そうですか。元カレとか元カノって面倒な扱いですよね。別れた後だからどんな風に話をしたら良いのかわからないですし」
「だよね。僕もどうしたら良いのか全く分からなくてね。もう連絡してこないでほしいんだけど…そんなこと直接言えないし」
「何でですか?言ってしまえば良いじゃないですか」
「まぁ…でも無闇に傷つける必要もないからね」
「ですか〜…」
そんな他愛のない会話をしていると定食が運ばれてきて昼食と相成った。
デスクに戻ってくると上司の女性である坂下命に声を掛けられる。
「昨日はありがとう。彩も満足していたよ。今日からまた配信頑張れるって。猛者の御蔭で彩も元気になったよ。ありがとう」
「ですか。それなら良かったです。またいつでも呼んでくださいね」
「あぁ。ありがとう。また彩が騒いだら…頼むな」
「はい。では」
そんな正ヒロインの彼女らと過ごす金曜日のことだった。
終業後に残業すること無く帰宅すると風呂に入り夕食を簡単に食べる。
そのままベッドに潜ると翌日の三郷ききとのデートに備えるのであった。
明日。
少しずつ状況は変化していくのであった。
多くは語らないが…。
ストーカー化元カノ動く…。
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