第43話 パパさん達


 年越しはカオスだったが、乗り越えれば普通の日だな。昼間からコーヒーとテレビでまったりしている。

“ピンポーン”

「ん?はい!」

『よぉ!アンディーだ!』

「今開けるよ」

 とアンディーが来た。

「やっとこっちに帰って来れたけど2人して買い物に行ったから暇でな!」

「あはは、暇が一番だよ」

 とL字のソファーに2人で座る。

「そうだな、それよりSPのことだが、あれはモンスターを倒した数か?」

「そうだと思うがどうしてだ?」

「いやな、オーガキングを倒した時に多く入った気がしてな?」

「あぁ、あのときか?」

「まぁ多い分にはいいんだが」

「そうだな、強敵だと多いのかもな」

「だろ?よかった、同じ意見で」

 とにこやかに笑うアンディー、

「そうだ、怪力とか持ってるか?」

「いや、欲しいが他のに使っているな」

「ならこれをやるよ」

 と二つのボールを渡す。

「なんだこれは?」

「スキルボールらしくてそれは『怪力』『俊足』だ」

「マジか!こんなのもあるのか?」

「たまたまダンジョンで見つけたんだよ」

「お、おお!使うと念じたら消えたぞ!」

「ステータスは?」

「入ってるな!まじかよ!」

 いちいち大袈裟だな。

「今何を育ててるんだ?」

「お前を見習って剣術だな!中級まではすぐ上がるが上級はまだ先が長いぜ!」

「ハハッ!その上があるから頑張れよ!」

「ゲッ!マジかよ!レイナは上級だぜ?」

「パパは負けてるな」

 と笑っていると、またチャイムが鳴る。

「はい?」

『あ、ミオの父です』

「え、あ、はい!」

「誰だ?」

「ミオのパパらしい」

 と玄関に行き開けると見たことある人だな。

「前は助けてもらったのにお礼もできなくてすいません」

「あ、あぁ、別にいいですよ!あ、レイナパパもいるんで上がっていきませんか?」

「あ、はい!お邪魔します」

 と言って上がってくると、

「やぁ、レイナパパ」

「おぅ!ミオパパ!」

「2人とも知り合いかい?」

「何度か会ったことがあるね」

「ちゃんと話すのはこれで2回目くらいだな」

 とレイナパパにもミオパパにもコーヒーを出して、座って喋る。

「ミオパパはSPは何に使ってるんだ?」

「SP?なんのことだい?」

「「え?」」

「え?」

「知らないと損するぞ?」

「知らないんですか?」

「なんのことだかさっぱり」

 そこから2人でミオパパにSPを教えると、

「なぜミオは私に教えてくれなかったんだ!これは是が非でも欲しい能力だ!」

「忘れてたのか知ってると思ったんでしょうね」

「そ、そうですね!でもこれだけあると迷いますね」

 科学に必要なものは鑑定なんかを取るんだろうな。

「時雨さんは何をお持ちでしょうか?」

 俺の持ってるので科学に役立つのなんてあったかな?

「そうですね、鑑定、言語、認識なんかは重宝するんじゃないですかね?」

「そうですねぇ、鑑定は欲しいですね!ですがなんせSPがないんで」

 そうか、その問題があるのか、

「ミオパパは石投げるのは得意ですか?」

「え?」

「パワーレベリングかい?」

「アンディーも行くだろ?」

「どこにだよ?」

 玄関で靴を履いてもらい、2人の手を触ると転移する。

「「ここは?!」」

 ダンジョンで一番人気のないオーストラリアのダンジョンだ。

「よし、アンディーはこれ着るかい?」

「お!新しい鎧だな!」

「これはミオパパに」

「どどうやって?」

「パージ、よいしょ、フィット」

「って感じですね」

 おっかなびっくりパージと唱え、着てからフィットで驚いていたが、

「う、動きやすいですね!」

「じゃあアンディーはこれな」

「お!かっこいいじゃないか!重さも十分」

「2人ともそれはプレゼントします。で、ミオパパは石を最初に投げつけてください!」

「石を?」

「そうです、これは娘さんもしてたことですから」

「そうですか!じゃあやります」

 と石を拾って3人でダンジョンに行く。

「ここがダンジョンか!ゴブリンがいっぱいいるぜ!」

「石を投げまくってくださいね!」

「はい!」

 と2人でみるみるうちにゴブリンを倒して行くと、ミオパパのレベルも上がり石を投げるスピードが速くなっている。

「ミオパパのステータスが上がってると思いますよ?」

「ほ、本当だ!これなら!」

「そうですね!次に行きましょう!」

 と15階層までいきセーフティーゾーンで一休みすると、

「鑑定取れました!認識と言語も!」

「俺も上級剣術になったぜ!」

「おお!2人とも凄いですね!」

「ハハッ!一番凄いスズトに言われてもな」

「ありがとうございます。これで研究が捗りますね」

 と2人とも大喜びだ。

「よし、では帰りましょう」

「「はい」」

 俺の家の玄関に到着する。

「さて、2人とも帰ってきたかな?」

「そうですね私も帰りますよ」

「そうですか、じゃあまたと言うことで!」

 と2人と別れて部屋で寛ぐ。

 こう言うパワーレベリングはいいかもな!

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