第39話 大詰め


「あーもしもし俺です」

「どう?終わったの?」

「まだ」

「そう、みんな会いたがってるわよ?」

「はぁ、俺もこう動くことになるとは思ってなかったからな」

 ホテルでビールを飲みながらカオルと話す。

「次は何処なの?」

「カナダ」

「また広いわねぇ」

「だろ?」

「まぁ行ってくるからあとは頼むな」

「わかったー」

 テレビをつけると帝国はアメリカ合衆国の州になるようだな。話が早くて助かる。

 まぁ、俺の物を渡したからだけどな。

「は、ハハッ」

 とベッドに横になる。

 ちょっと疲れたな。

 イクシードになってから動きっぱなしだな。

 流石に休みが欲しくなる。

 ブラックもブラックだな。

 と眠りにつく。


 翌朝はちゃんと起きて朝飯を食い、シャワーを浴びてスッキリすると、シャツにチノパンにブーツでしっかりした服装に着替えて、成田に行く。

 カナダのカルガリーまでの直通便が出ているからだ。

 鬼の森の警備もしっかりしているようで良かった。

 自衛隊様様だな。


 カナダのカルガリーに着くと、ダウンジャケットを着る。さすがにこの格好ではな。

 ジャスパー国立公園にダンジョンがあるのでタクシーで向かう。6時間ほどかかるが楽だからいいか。バスもあるが待つのが疲れるからな。

「お客さんもダンジョンへ?」

「そうだな」

「あんなモンスターがいるところによく行くよ」

「まぁ、しょうがなしだ」

「このステータスってのも考えもんだ」

「ん?何でだ?」

「弱い俺にとっちゃハズレのレッテルのようだ」

「あはは、強くなればいいだけだ」

「そう簡単に行かないさ」

「まぁそうだな」

「嫁も子供もいる、冒険なんてできないさ」

「そうか」

 そうだよな、普通はそんなもんなのかもしれないな。

 道中は楽しく喋りながら行く。

「よし着いたぞ!」

「あぁ、いろいろありがとう」

 と多めに金を渡す。

「お、多いぞ」

「チップだ」

「ありがとよ」

「じゃあな」

 と別れる。

 さてと、最後のダンジョンだな。

 並んでいるので並ぶ。

 みんな自前で斧やバールなどの武器を持ち、鎧も自前で何かしらつけている。

「おいお前、その鎧や武器は?」

「ん?ダンジョンで手に入れたぞ」

「そ、そうか!ダンジョンで手に入るのか?」

「敵を倒せばな!」

「よし!やるぞ」

 と前のやつが聞いて来たので喋っているとみんなも聞いてたみたいで気合いが入ったみたいだ。

 そして列は進み俺の番だ。

 入って行くとみんなゴブリン相手に奮闘している。

 邪魔するのも悪いので瞬歩で抜き去る。

 10階層、ファイヤーツリーと言うトレントだな。火の魔法を使ってくる。

 まぁ、ここまで強くなった俺には瞬殺だがな。

 ドロップはトレントの木板と魔石。

 宝箱はいつものマジックバッグ。

 下に降りていき15階層、みんなが休んでいるので俺も少し休む。缶コーヒーを出して飲んでいると、

「なぁ、その武器や防具は?」

「ダンジョン産だぞ?」

「そ、そうなのか?だがデカくて着れないんだが」

「フィットと言えば小さくなるさ」

「ほ、本当か!よし、フィット」

 感動しているようだ!

 そして大荷物を抱えている人間が荷物を広げみんながワラワラと集まっている。ここで休んでるやつはパーティーのようだな。

「良かった!軽くなったよ!」

 と荷物持ちが言ってくるのでSPのことも教えてやると、

「す、すげえな!俺も戦えるぞ!」

「あんたこんなこと教えていいのか?」

「あぁ、みんなに教えてやれよ?」

「分かった!ありがとう」

 とグータッチして行くと先に進むようだな。

 さて俺も先に進むか。

 みんなを瞬歩で抜かしていき20階層、

 パワーと言う明らかに筋肉質なミノタウルスだ、武器は持っておらずパンチを繰り出し、突進してくる。

「エアカッター」

 と魔法もそこまで効かないな。

 瞬歩で肩に乗ると首を狩り取り消滅して行く。力の腕輪と力のベルト、魔石をドロップしたのでベルトは付け替えようかな。

 宝箱にはスキルボール『怪力』『俊足』と前もあった組み合わせだな。

 25階層、と、こっちの冒険者ではないな、歴戦の冒険者のようだな。

 獣人にエルフにヒューマンが2人の4人パーティーだ。

「よう、調子はどうだい?」

「ダメだ、俺たちは帝国から来た冒険者だが帝国がなくなってしまってな」

「食べ物は持ってないか?何も食べてなくてさ」

「ほら、これ食べな」

「あ、ありがてぇ!」

 と飯を食わせてやると涙を流しながら食べている。

「ここで死ぬかと思った」

「そうか、だが帝国ならあるぞ?」

「あ、あるのか!それは良かった!」

「だいぶ遠いがな」

「そうか、戻れないもんかな?」

「俺の用事が終わったら連れてってやるよ」

「本当か!あ、ありがとう!」

「いや、別にいいよ」

 みんな同化して困ってるのは一緒だからな。

「それじゃあ」

「外で待ってるぞ!」

「あぁ!ちゃんと外にいろよ?」

「任せろ!」

 何を任せるんだ?まぁ、大丈夫だろうけどな。

 さて、30階層はウォーターと言うウンディーネだ。

 水を高圧で発射してくるので当たるとやばいな!

「サンドブラスト」

『キュアァァァァ』

 土魔法で簡単に消滅したな。

 ドロップは水の腕輪に水のローブ、魔石か。

 宝箱には水の魔導書だ。


 さて、大詰めだな。

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