第33話 外交
「私から一つよろしいですか?」
「なんでしょうか?」
「もう知っての通りでしょうが地球と違う次元のパンゲアと言う惑星が同化したのはご存知かと」
「はい、そう認識しています」
「こちらの文明に追いついてないのが王国ですね」
「その様ですね」
「ですが、こちらも未知なる力をまだ知らないと思いませんか?」
「…それは魔法のことですか?」
「それもあります。そしてそれ以上の力のことは?」
「分かりませんがどう言った力ですか?」
「まず私たちの服装はどうでしょうか?」
「あ、そう言えば薄着ですね?寒くないんですか?」
よし、掴みはいい感じだな。
「はい!私達は耐寒と言うスキルを持っていますので寒くありません」
「それは素晴らしい!私達は働くことができないくらい寒いですからね!」
「そうですよね、ですから地球のことを教える代わりにパンゲアのことも教えてもらうなど、友好関係を結べればと思っています」
「そうですね、ヤクーツクはそれでもいいと思いますがサハ共和国、ロシアで考えた場合にも恩恵があると?」
「それはもちろんあります!世界が変わったのですから我々も変わらないといけないんだと思います」
市長は考えて、
「そうですね、善処できるように話をしていきたいと思います」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
と遅れて頭を下げるガイ。
「まずはこちらの手の内を明かしましょう」
「え?」
「それは素晴らしいですね」
「ですが契約書を書いてもらいます」
「…それはどう言う」
「簡単です、このことを他言しないことと言う誓約書です。魔法的なものが入っているので喋りたくても喋れないですがね」
「…分かりました、サインしましょう」
よし乗ってきた!このために『契約SP50』を取った甲斐があった。
「それではサインをしてもらいましたのでこちらが写しですね。では、ステータスを見てください」
「はい、見ましたが」
「そこに…」
俺たちは市役所から出て外でまったりとしている。
「本当にありがとうございます」
「いえ、これから頑張って下さい」
「はい!」
市長の反応は十分だった!これでダメならどうしようかと思ったが、これは世界がひっくり返ると、サハ共和国へ、そしてロシア連邦へと話を広めるらしい。そのために誓約書は複数枚作成しておいたので渡しておいた。
これで王国も少しは豊かになるだろう。
どのみちバレることだが、これを先に武器にしておけばいいことであって、友好関係を築くための架け橋になればそれでいいのだ。
そんな簡単に王国を追いやることはないだろうしな。
まぁ、気付く人は少ないと思うからさっさと友好国になればいいだけだ。
さて、やることもやったし後はガイに任せればいいか。
市長にはメダル(国賓扱いの)を渡してこれで行き来が楽にできると言ってあるからな。
さて、王国に戻ってガイに後は任せ、俺は宿屋に泊まる。お金はルーブルでいいらしい、と言うかルーブルがいいらしい。
まぁ、外貨獲得は難しいからな。
金貨なら売れるかも知れないが鉄貨なんかはゴミになるからな。
おかげでいい宿に泊まれた。
商売女がきたが断った。イクシードになってからその気があまり起きない、歳かな?
朝の目覚めは最高だったが、コーヒーを飲んでるとガイとヤックが2人で押し寄せるのでぶち壊しだ。
「まずはガイはなんだ?」
「先ほどサハ共和国と友好関係が結ばれました!」
「それは良かったな!その調子で頑張れ!後金貨は売れるかも知れないからちゃんと集めておけよ?」
「はい!」
「で?ヤックはなんだ?」
「冒険者の仕事がないんだ!いてもゴブリンなんかで、金にならん」
「だろうな、ダンジョンはこの辺りにはないのか?」
「一番近いところがここだと分かった」
「あぁ、福岡か、あとは?」
「オークの森があったが、この寒さでオークはどこにもいないんだよ」
なぜ俺が考えなければならないんだ?
「働かせろ!街に出てなんでもやればいいだろ!」
「な!冒険者だぞ!」
「そんなの関係あるか!地球には冒険者なんて職業はねぇ!」
「は?嘘だろ?」
「ないものはない!以上!」
と言って俺は空港に向かう。流石にこれ以上ここにいるのはヤバすぎる。
ヤクーツクから東京へと舞い戻ると、カオルに連絡する。
「どこ行ってたのよ?」
「あ?王国」
「えぇー!ロシアの?」
「そうだ、疲れたよ」
「そりゃお疲れ様ね、で?どうしたの?」
「いやとりあえずカオルに連絡し解けばいいと思ってな」
「ウフフ、そうね!私に連絡しとけば間違いなしよ」
「んじゃ、今東京な!ホテル泊まるから、寝るからな?」
「はいはい!わかったわよ」
と電話を切る。
まだ昼間だから買い出しするか、
と買い出しをしていると色んな人に声をかけられるがヘアーカットのモデル?ならお願いしようとそれだけは断らなかった。
短めに切ってもらい写真を何枚も撮るので、めんどくさかったがまぁいいか。
スッキリしたしこれでまた買い出しを始めて、ようやくホテルにチェックインし、ビールを飲みながら飯を食う。テレビをつけたままだ。
「おぉ、ロシア動くの早いなぁ」
王国をロシア連邦に入れることになった様だ。
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