第31話 王国
ヤクーツクで流石に上着を買ってみんなに合わせる。着なくても平気なのだが着ていないと変な目で見られるからな。
「王国まで行ってくれ」
「あ?いいがすぐそこだぞ?」
「いい、よろしく頼む」
「わかったよ」
と、タクシーは走り出すと郊外に出てすぐ門が出て来た。
「ほら、すぐ着いちまった」
「これで、後はチップだ」
「お!ありがとよ!」
と着いたはいいがここが王国か、氷の城みたいになってるな。
「中に入るなら冒険者証か、通行許可証を」
と寒そうにしている門兵に冒険者証を見せる。
「これでいいか?」
「Cランクか、いいぞ」
と門の中に入れてくれた。
街の中は寒々としていてあまり外に出ている人がいないな。
ギルドを見つけて入ると皆が暖炉でくつろいでいた。
受付で冒険者証を見せて、
「みんなどうしたんだ?」
「この寒さじゃ狩りに出られないのよ」
そうか、もう冬になってきてるからな。
「ステータスの秘密を知りたいか?」
「え?」
「誰か上の人に話がしたい」
「わ、わかったわ」
と2階に駆け上がって行くと降りて来て呼ばれる。2階に上がると寒さが増すんじゃないか?受付は震えている。
“コンコン”
「入れ!」
中に入ると暖炉があり暖かい空気が流れ込んでくる。
入って扉を閉めると上着を脱ぐ。
「私がこのギルドのギルド長のヤックだ」
「スズトだ、ステータスの秘密を教えに来た」
「まぁ、座れ!」
ソファーに深く座る。対面にヤックが座りお茶が運ばれてくる。
「で?ステータスがなんだって?」
「今ステータスが見れるか?」
「あぁ、見ている」
「SPと言う表記があるだろう?」
「ん?あ、あるぞ?なんだこれは?」
後はいつも通り教えるだけだ。
「耐寒を取得したのか?」
「あぁ、こう寒くちゃ仕事にもならんからな!」
「ならこれを王にでも言って拡散すればこの国は元通りだな」
「よし!行くぞ!」
「は?」
「お前が伝えに来たのだ!お前を連れて行かないとな!」
と言って俺の腕を掴むと早速外に出て馬車に乗る。
石畳の街を見ながらやはり中世時代のヨーロッパがイメージされる。
だったんだろうなぁとぼんやりとだがそう思ってしまう。
馬車もケツが痛いなんてこともないし、そこは魔法なのだろう。
映画であったな魔法学校が舞台のが。
王城に着くと門が開かれて中に入って行く。
スタスタと歩くヤックはゴツいのにスラっとした印象のおっさんだ。
扉の前で待たされて、合図とともに中に入りヤックと同じ様に片膝をつく。
「おもてを上げろ、ヤックよ、なんの様だ?」
「は、ステータスに関する重要事項をこの者、スズトが見つけたのでそれをご報告に!」
「スズトとやらは初めて聞く名だが地球の者か?」
「はい、そうなります」
「で、我が王国になにを教えに来たのだ?」
「ステータス画面は見られるでしょうか?」
「あぁ、見ておる」
「そこにSPと言う文字は?」
「あ、あるな…見落としていたのか?」
「いえ、同化した時にできたと思われます。それを押していただくと」
「な、なんだこれは!!」
と大騒ぎになった、全員が耐寒をまず取った様で、寒くないと嬉しがっている。
「これは報奨金を出そうではないか」
「王よ、これは当たり前のことなので報奨金は辞退します」
「なんと、この星のものは、がめつい者が多いと思ったがそうではない様だ」
世界はこの国に何を要求してるんだ?
「分かった、スズトにはメダルを渡そうと思う」
「「「おぉーー」」」
「メダル?」
「そうじゃ、この国にいる間は国賓として扱われるぞ」
「それなら喜んで」
「よし、他のものにもこのことを知らせるのじゃ!」
街の人もステータスと耐寒を取るためのSPはあったらしく街が活気付く。
「スズトよ、ありがとう」
「いえ、ご期待に添えて嬉しい限りです」
「スズトはどこの国のものだ?」
「日本という島国だった場所です」
「日本か、それは友好国になりたいと言って来た国だな。それはよかった」
俺とヤックは大通りを戻ってギルドに着くと、ギルドにももう噂は広がったみたいで、筋骨隆々の男達が外に出て行くところだった。
「お前がスズトか!ありがとな!」
「いや、気にするな!」
「ハハッ!じゃあな!」
と出て行く冒険者達、
これでこの国も大丈夫だな。
ギルド長の部屋に入って、
「あっそうだ、転移陣ってあるのか?」
「誰にそれを?」
ギルド長の顔が険しくなる。
「聖教国の冒険者だったな」
「あぁ、聖教国なら安心だな」
「帝国だとまずいのか?」
「あぁ、この国は今は帝国と戦争状態だからな」
「は?」
どれだけ離れてると思ってるんだ?
「今の地図はわかるか?」
「あぁ、これだろ?」
世界地図だな。
「ここが王国でこっちに帝国がある、離れすぎてて戦争どころじゃないだろ?」
「いや、転移陣があるからな」
「封鎖しとけばいいだけじゃないか?」
「今は封鎖してあるが、あいつらは飛空挺を持っているからな」
「へぇ、飛行機みたいなものか?」
「そう、その飛行機があちらにあったらやばいのだ」
「地球は広いぞ?」
「は?お前はどうやってここまで来たのだ?」
「飛行機」
「な、民間人も乗れるのか?」
「あぁ、金とパスポートがあればな」
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