第29話 ファミレス2


 帰りついた俺は流石に限界がきていたのか、ベッドに横になると意識が切れた。


 翌朝起きると装備もそのままだったので装備を外してシャワーを浴びると着替える。

 髭なんかはイクシードになってから生えてこないな。

 朝飯を食いがてらテレビをつけるとやはり昨日のことが映っていた。やはり鬼の森に拠点があるのは危ない気がするな。


 とりあえずメールをするとすぐに返事が返って来て、外で会うこととなった。

 車で向かうと、カオルにミオ、レイナにアル達もいるな。車を収納して流石にこの人数じゃ喫茶店でもないだろうからファミレスに行く。

「懐かしいわね、ここでスズトと会った」

「まぁな、あの時はしがないおっさんだったがな」

「そう?カッコよかったけどね」

 山盛りポテトを食べながらそんな話をする。

「桐生院さんはどうするって?」

「拠点を移すそうです。流石に鬼の森に居続けることは困難だそうで」

「それがいい、だがどこに?」

「長野県に移すそうですね」

「そうか、鬼の森から出ている県だな」

「近いですがあまり遠くても」

「そうだな、桐生院さんのことだ、こうなることは見越していたんだろ?」

 ミレイさんは頷くと、

「もう着工していて来月には出来るそうです」

「そうか、それまでの繋ぎが必要だが」

「それは自社ビルがありますから」

「そうか、それならいい」

「もー、ミレイとばっかり話さないでよ!」

「あはは、大事なことだろ?レイナはどうするんだ?」

「パパが座間にいるけど、カオルのおじさまから家を紹介されてるの。だからそこに行く予定」

「長野県になるのか」

「そうよ」

 千葉、東京辺りは人がいなくなるかもな。

「時雨様の家も検討中ですがどうしますか?」

「そうだな。その話に乗ろうかな」

「分かりました、それではその様に進めておきますね」

「で?今回はドイツに行ったんだっけ?」

「あぁ、ドイツの…」

 とあったことを話しているとやんちゃボーイ達がまた俺たちのところに来る。

「なになに?俺たちも混ぜてよ?」

「そうそう!俺たちこれでも強いんだぜ?」

 といかにもな格好をしているが、

「はぁ、私は自分より弱い男には興味がないですので」

「右に同じー」

「と言うか入ってくるなし」

 と散々な言われ様だな。


「あ?なにか?俺がお前らより弱いって言うのか?」

“キン”と刃が男の首もとに行くと、

「ひっ!」

「さっさと失せてください!」

「く、くそっ!後で覚えとけよ」

 と店を出て行く。

「はぁ、めんどくさくなって来たな」

「スズトなら大丈夫でしょ?」

「やっぱ俺がやるのかよ」

「うん!で、エチオピアにも行ったんでしょ?」

 と話を進めていく。

 ようやく話し終えたくらいに外がやかましくなって来たので俺1人が出て行く。

「あ?なんでおっさんが1人で出てくんだよ!」

「女どもにちゃんと解らせないとな!」

「はぁ、サンダーインパクト」

 ちゃんと人には当たらない様にすると、

「ま、魔法使いかよ!」

「割に合わないぞ!!」

「帰るぞ!」

 と帰って行った。


 席に戻ると、

「やるねぇー!」

「やっぱり凄いね」

 あまりいいことではないがこれが一番効くからな。

「で次はロシアなんでしょ?」

「そうだ、なかなか大変だぞ?」

「そりゃそんだけ動いてれば大変だよ」

「カオル達はどうするんだ?学校は?」

「もう卒業になるよ!こんな時だし大学も潰れたしね」

「潰れた?」

「そう、本当に潰れたの!壊されたのよ」

「あぁ、物質的な話か」

「そう、で、行くところは決まってたんだけど四年生は行きたい人だけになって後は卒業扱いにするってさ」

「そっか、ならこれからを決めないとな」

「スズトのお嫁さんでもいいんだけど?」

「ハハッ、俺はまだ1人がいいよ!まだやることもあるからな」

「言うと思った!まぁ考えといてよね!」

「はぁ、難しい問題だな」

「ふん!モテる男は辛いですね!」

「なんでそこでレイナが怒るんだよ」

「パパがスズトならいいってさ」

「やめてくれ、俺は」

「まだでしょ?分かってるから!私はそれまでレベル上げをするの!」

「あ、私もそうするつもり!」

 とカオル達が盛り上がってると、

「悪いけど私達もいるからね?」

 アル達が出て来た。

「そうそう!私なんてどう?」

「リリ、今はもういっぱいいっぱいだよ」

「そうね、これからだもんね」

 とアルが言ってお開きになった。

「では、部屋が決まり次第メールで連絡しますのでよろしくお願いします」

「分かりました、ミレイさん、急がなくていいんで、どうせこれからもまだ忙しいので」

「はい!分かってますから」

 と言ってみんなと別れると、車を出してまたあの団子屋にいく。

「良かった、潰れてなかった」

「いらっしゃいませ、あら、この前の」

「はい!美味しいのでまた買いに来ました」

「あらそうなの!ありがとうございます」

「また全て買わせてもらってもいいですか?」

「わ、分かりました」

 と言って団子を包んでもらう。


 外に出ると、寒くなって来ているようで外行く人がコートを着ているので俺もコートでも着ておくことにしようと思った。


 イクシードになってから寒さに強くなったのに加えて耐寒耐熱にしてしまったからな。

 肌で感じる季節ってのがやっぱりいいな。

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