第28話 襲来


「じゃあなジャバ」

『うん。スズトありがとう』

「気にするな」

 と言って転移石に触れる。

「またな!」

『うん』

 と言って外に出る。

 近くのカフェに入って次の地図を見るとまだファフが光ってるが最後だ。

 次はロシアか、でかいからな。

 王国の近くならいいけど、スマホを操作して近くの空港を見るとないな。

 まぁ、食料もほとんど置いて来たし日本に帰るか。


 韓国・仁川経由で日本に帰る。成田に到着してお土産屋でも大人買いして行く。

 まぁ、成田からは車を収納から出して乗って帰る。

「ふぅ、久しぶりの日本だな」

 途中で色んなところに寄って大人買いをして行く。じゃないと一軒で済ませられないからな。

 ようやく家に着くとメールをしておく、とすぐに帰ってくる。

カオル『いまどこ?』


スズト「家だ」


カオル『すぐ来て』


スズト「なぜ?」


カオル『いいから!待ってる』


「はぁ、帰って来たばかりだぞ」

 俺はまた車に乗り込みブラックコーヒーを飲みながら桐生院の家に向かう。


 桐生院の家が見えたが何か様子がおかしいな。

「スズト!」

「カオル?なんでこんなとこに」

「いいから!」

 と降ろされ車を収納すると走り出す。

「何があった?」

「裏口から入る!」

 何があったかわからないけど切迫している様だな。

 とオーガが中にいてアルと戦っている?

「オーガ?なぜこんなとこに?」

「いきなり襲って来たのよ!今みんなで戦ってるところ!」

「分かったよ!」

 黒刀夜桜だけ出して走り出し、オーガを斬り倒していく。

「スズト!」

「よう!アル!」

「助かる!」

 とんだ再会だな。

 50は倒したか?

「ようやく落ち着いたな」

「まだよ!キングがいるわ」

「そうか」

 索敵をすると黒鬼というネームドだな。

『グオオォォォ!!』

「はぁ!ったく、なんなんだよ!」

 黒鬼は剣を持ち、8メートルほどの巨漢で屋敷を壊していたので斬りつけるとこちらを向く。

「ほらこっちだ」

『グオオォォォ!』

 と中庭に誘導して、剣を交えると、

“ギギギギギン”

 とそれなりに力はある様だな。


『グオオォォォ!!』

「それ効かないから!」

 と言って瞬歩で肩に乗り首を狩ると消滅して行った。

「さて、怪我人の救助か」

 と怪我人にヒールをかけて行く。

「スズト!ありがとう!」

「どういたしまして」

 邸宅は半壊ってところか。

 しかし深部だが、最深部にいたオーガがなぜここに?。

「「スズト!」」

 カオルにミオだな、抱きついて来て泣いている。

「どうした?」

「み、ミレイさんが」

「クッ、アグッ!」

 走って行くと腕がちぎれかけていて虫の息だ。

「ヒール、ダメか、フルケア」

 傷が回復して行く。

「何があったんです?」

「く、黒いオーガが急に出て来て」

「あいつはネームドらしくて普通のモンスターとは違いますね」

「お父さん!お父さん!」

「グハッガッ!」

「フルケア!」

 ミオのお父さんも酷い怪我だ。

「大丈夫ですか?」

「あ、あぁ。オーガが魔石エネルギーを狙って来たみたいだ」

「は?魔石を?」

「取り込んだ魔石エネルギーで黒くなっていったからな」

 ネームドに進化するのは魔石の摂取量か?

 ここには魔石が多くあったからそれを狙って来たのか?


「ちょうどオーガの魔石からエネルギーを取り出す作業をしていたらこうなったんだ」

「…そうですか、桐生院さんは?」

「ここだ」

 俺の後ろの方から声がした。

 屋敷の中にいた様だな。

「すまないな、だがラボをもっと強固にしなければいけないことがわかったよ」

「ですね、それと千葉には作らない方が?」

「それも検討しよう」

「あのオーガが取り込んだのは残りの魔石の方でエネルギーにした方は大丈夫のはず」

 とミオのお父さんはラボの方に向かって行った。


「みんなよくやってくれた、時雨君も本当にありがとう」

「いや、ちょうど帰って来たところで良かったですよ」

 あの黒オーガはネームドまで進化していたからな。

「私達も強くなってきていると思ってましたけどまだまだですね」

 カオルが言うとみんなが頷く。

「ミオはなんでいたんだ?」

「私はたまたまお父さんに資料を届けに来て」

「そうか、それにしても派手に暴れましたね」

 豪邸は半壊している。

「まぁ作り直せばいい、ここは鬼の森だからもっと強固にしなくてはな」

「ゴブリン当たりならそれほど被害は出なかったでしょうがね」

 オーガが深部に出て来たことが問題だな。

 ゴブリンを間引きすぎたのか?多分それもあるだろうな、食物連鎖でオーガの食べ物がなくなってしまったのだろう。

 房総の人は大部分が避難して来ているみたいだしな。

「時雨君はなにか考えがあるのか?」

「いや、ゴブリンを間引くにあたり、最深部に食料がなくなったのかと」

「それもあるかもな、それでこっちに移ってきたと」

「そうです、房総のほうにいるはずのオーガがこっちに来たのはそのためじゃないかと」

 

 何か手を打たないとな!


「とりあえずはなんとかなったのだ、今日はもう遅いな。皆も疲れただろう、ミレイ、ホテルの予約を頼む」

「はい」

「俺は自宅に帰ります、旅から帰って来たばかりですから」

「そうか、呼び出してすまんな」

「いえ」

 ミオのお父さんが戻って来て、

「エネルギーは無事でした。オーガの魔石は無くなってしまいましたが」

「それはしょうがない、これから会議をする、職員を集めてくれ」

「はい」

 他の使用人が動き出す。

 俺はまだ怪我人がいたのでそこに行き回復魔法を使って治してから帰ることにした。


「スズトありがとう」

「おう、今日はもう遅い、また明日にでも連絡する」

「分かった」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る