第27話 ジャバウォック
フランクフルトからエチオピアまでの直行便でエチオピアに舞い降りた俺は、ダンジョンを探していると言ったらミニバン(タクシーらしい)でI時間くらい走ってついたのは空港?
回り道をされていたようだ。
「おい!どこにダンジョンがあるんだよ!」
「は?そこで並んでるだろ?」
と俺はぼったくられた。
モンスターで憂さ晴らしだな。
並んでいるといろんな売り子が来るが誰が買うもんか!
ようやく俺の番になったら入場料?ふざけるな!と刀を見せると震え上がってどうぞと言われた。
ふざけるな!こんなダンジョンで入場料なんて払えるか!
憤って入って行くとゴブリンを薙ぎ倒して行く。ドンドン下に行き10階層のダミアンと言うネームド、ゴブリンキングは瞬殺だった。
ドロップはショーテルという武器だが収納に入れて先を急ぐ。
ようやく15階層のセーフティーゾーンで落ち着いて来て、ボッタクリなんてどこにでもある…騙された俺がバカだったと思い、少し休憩する。
はぁ。次行こう!
20階層はブラックと言うネームド、と言うか暗くて何も見えない。「トーチ」と言う種火を着ける魔法を使うとゴブリンアサシンだったのですぐに仕留める。ドロップは見えない透明な短剣でクリスタルダガーというそうだ。まぁ、収納行きだな。
25階層で休んでいると獣人とヒューマンのパーティーに出会う。
「ここいいか?」
「あぁ、誰のものでもないしな」
と言うと少し笑い敷物を敷いて休んでいる。
「食うか?」
「お、食い物か?いくらだ?」
「いらないぞ、人数分あるしな」
渡して俺が食うとみんな食い出す。これくらい用心深くいないとな。
「う、うめぇ!」
「こっちの食い物か!」
「美味しい」
と絶賛だった。
聞くと聖教国にいた冒険者らしいが、パンゲアの貨幣の価値が下がっているので頑張ってこちらのギルドで稼いでいるらしい、が、こっちの飯が合わないらしい。
「インジェラってのにワットてのをつけて食べるがあまりにも合わなくてな!」
「酸味があるのが少しね」
「まぁ、独特の味だ」
そうか、食文化も違うから中々合う合わないはあるよな。
「にしても美味い飯だな!これは何処のものだ?」
「日本ってとこだ、王国側だな」
「王国側か!ならそっちに行ってみるか!」
「そうだな!こっちは俺らには合わないからな!」
と言っているが、歩いて行くつもりか?
「どうやって行くんだ?」
「ん?あぁ、こっちの人間は知らないだろうが王国と帝国と聖教国は転移陣があるんだよ」
「へぇ、それに乗れば動けるのか?」
「そうだ、一瞬だ。まぁ、金がいるけどな」
「まぁ、何処もそうだよな」
「こっちの人間はどうしてるんだ?」
虎の獣人だろう、男が聞いてくる。
「空を飛ぶ乗り物があるからな」
「マジか!そ、それは飛行船か?」
「飛行機っていうものだ、このダンジョンの外に出たらそのうち見れるぞ?」
「あ、あれか!」
とヒューマンの男が口にする。
「あれかぁ、乗るのは怖いが、一度は経験したいもんだな」
和気藹々と盛り上がり、こいつらは30階層まで行って帰るみたいだ。
飯代の代わりに情報を色々聞けて良かった。
さて、俺も行こうかな!
「じゃあ日本で会ったら奢るよ」
「絶対だからな!気をつけろよ!」
「おう!」
30階層はグルドンと言うネームドでミノタウルスだ。デカい斧を持って機敏に動くが、速さでは俺の勝ちだな!
サッサと倒してドロップのダブルアックスを収納に入れる。宝箱は金色でお決まりの毒針だった。
スキルボールが2つ入っていて、俊足と怪力だった。まぁ、当たりだな。収納に入れる。
35階層で休憩、転移陣かぁ、このダンジョンにもあればいいのになぁ。なんてバカなことを考えながらコーヒーを飲む。時計を見るともう夜になっているのでここで一泊だな。
朝起きるとやはり時差ボケで頭がぼんやりしているが、やることやってからゆっくりしたいな。
40階層、ウ・ドンというネームドのツノの生えたサイクロプスだ。
2本ツノで体は赤い、興奮状態なのか殴る蹴るを繰り返してくる。武器は使わないようだがダンジョンが揺れるほどのパンチをしてくるので当たると負けだな。
「アブソリュートゼロ」
で足を凍らせて前屈みになったところで首を狩る。
ドロップでツノとスキルボール、魔石。
スキルボールは突進、宝箱からはいつものが出たのですべて収納にいれた。
さて、最後の50階層だ。
扉を開けると、大男がそこにいた。
傷だらけで歴戦の戦士の様だな。
「…」
『…』
「…間違えた?」
『合ってるだよ』
「そ、俺はスズト」
『ジャバウォック』
やりにくいな。
「なんか食べる?」
『うん』
とりあえず菓子と食べ物を出してやる。
菓子パンを一つ開けてやる。
「ほら」
『うん…うめぇ』
と涙を流す。
「先に指輪をしようか」
『うん』
一つのパンをペロリと食べ、指輪を見せる。
「リワインドリング」
壊れかけた指輪が元に戻った。
「ジャバウォックは喋るの苦手?」
『うん』
「そっか、じゃあ、とりあえずコンセント」
『あそこに作った』
「分かったよ」
テレビとゲーム機を繋ぐとスイッチを入れる。
『おぉ…』
「フフ、ハハハハハ!」
『なんかおかしいか?』
「いや、良かったよ、無口な竜もいるんだな」
『…俺喋るの苦手、だから何喋っていいかわからない』
「そうか、一緒にゲームをやろう。教えるよ…とそれよりその菓子と食べ物を収納して」
『うん』
収納すると団子を出して食べながらゲームの説明をする。
「上手いじゃないかジャバウォック!」
『うん、面白い、これ』
「団子は?」
『美味い、こんな食べ物があったんだな』
「お茶でも淹れるからやってなよ」
『あ、ありがとう』
と大男が1人で体を動かしながらゲームをしている。
なぜかほのぼのとしてしまう。
「ほらお茶だ」
『ありがとう、ズズッ、美味い』
「な、和菓子って言うんだけど合うよな」
『うん。この世界は知らないことだらけだ』
「だろうな」
『俺はあまり喋るのが苦手だから』
「そうみたいだな。でもそういうのもありだと思うぞ?」
『そ、そうかな』
「無理して喋る必要ないじゃないか」
『うん』
と大男のくせになんだか恥ずかしそうに喋るジャバウォックは好感が持てるな。
「一緒にやろう!」
『うん!』
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