第23話 米軍


 日本に戻って来て時差ボケの俺は家に戻りスヤァと寝てしまった。

 そして起きると大量のメールが入っていた。

「な、なんだ?」

 中を確かめると、“帰って来たなら一言メールくらいしなさいよ”など、途中から愚痴に変わっている。

「はぁ、帰って来た途端にこれかよ」

 カオルに連絡をする。

「あ!やっと連絡ついた!」

 朝から元気な大声で耳からスマホを離す。

「うるさい!時差で疲れて寝てたんだ!」

「あ、ごめん、でも帰って来たらメールくらいしてよ!」

 どうしてもこちらのことを考えてるとは思えないな。

「こっちも忙しかったと言ってるだろう!」

「う、心配したんだから!」

 と泣かれると弱いのだ。

「わかった、次からはそうする」

「絶対ね?って次?」

「そうだ、七つのダンジョンに行かないといけないんだよ」

「なんで?」

「封印が解かれてドラゴンが出てくる」

「え?本当に言ってるの?」

 本当のことを言っているのにこれだ。

「そうだ!本当だからタチが悪い」

「それはスズトじゃなくても」

「無理だな、封印と時魔法が使えないといけないからな」

「グッ、それじゃあまたスズトは」

「あぁ、次のダンジョンに行かなければいけない」

「そうなんだ」

「そうだ、とりあえず一週間はこっちにいるつもりだし、桐生院家にも行くつもりだ」

「わかった!くる時にまたメールしてね!」

「あぁ、じゃーな」

 と電話を切ると疲れがどっと出てベッドに横になる。

 好かれるのは嫌じゃないが俺は俺でいたいからな。

 やはり1人が気楽でいいな。


 夕方まで寝てしまい、それから買い物に出かける。

 ショッピングモールで大人買いをしまくる。収納に全部入れるから別に量は関係ない。どれだけ多く入れて行くかだが同じくらいでいいだろう。

 大型テレビにゲームも買っておく。

 どうせあいつのことだ、自慢してるんだろう?


 しかし一回、一回帰ってくるのもだるいな。

 もう夜になるので回転寿司屋で夕食をとって家に帰ると米軍の車?

「スズト!」

「アンディー?なんで?」

「いやぁ、会えて良かったよ、これから暇か?」

「まぁ、暇っちゃ暇だが」

「よし、少し付き合ってくれ」

 と車に乗り込み座間の米軍陸軍キャンプに行く。

「おいおい、ちょっとじゃないじゃないか」

「まぁ、細かいことは気にするなよ」


「アンディー!」

「ジョイ!なにしてんだ?」

「英雄を迎えに来ちゃ悪いか?」

「あはは、英雄なんて」

 と照れてしまう。

「あれ?スズトは英語が喋れるのか?」

「あぁ、SPで言語をとったからな」

「わぉ、そんな使い方もあるのか!」

 と2人して驚いている。

「なにしてる、早く入れ!」

「「はい!」」

 と建物の中に入って行くと、

「君が時雨君でいいのかな?」

「はい、時雨涼都です」

「あんまり固くならないでくれ、僕はヴィーヴル、サラ准将だ」

 准将か、高いくらいの人だな。

 しかも女の人だ。

「君を呼んだのは他でもない、僕が気になったからだ」

「ん?何にですか?」

「君が倒した後には何も残っていなかった、何も落とさなかったか、君が持っているかだな」

 オーガ戦の時か。

「そうですね、私が持っていましたが、桐生院に渡しました」

「…そうか、残念だ」

「あ、また仕入れたのでそれでよければ渡しますけど?」

 ダンジョンでしこたま収納には入っている。

「そうか!それはありがたい!」

「いえ、こちらこそ勝手に売ってしまってすいません」

「どんなものがあるのかね?」

 それからは鎧や武器を見せては説明していく。

「これを買い取らせてもらいたい」

「はい、いいですよ」

「良かった!ありがとう!」

 と握手をするとやはり女の人だが手が硬いな。

「早速だが値段交渉だ、こちらである程度値段を出してあるが、どうだろう?」

 と後ろの人から紙を渡される。

 700万ドルか、一千万程だな。

「良いですよ」

「良かった!ありがとう」

 別に少し安いと思うがこんなもんだろう。


「あ、後一つ、何か隠し球はないか?」

「…ふぅ、しょうがないですね」

 と俺が出したのはマジックバッグだ。

「ん?これはなんだ?バッグ?…ワァオ」

「これはマジックバッグです。これなら隠し球になりますか?」

「すごいよ!分かった!これは一千万ドルで買おう!」

「分かりました」

「これでアンディーだけが装備をしているのがなくなるな?」

「ハハ、これもスズトにもらったものですよ」

「そうか、スズト、ありがとう」

「いえいえ、どういたしまして」

 と口座を教えてそこに入金してくれるそうだ。

 早速サラ准将は自分のお気に入りを探して装備している。

 バッグもつけているようだ。

 装備のほとんどを売ったのでまたダンジョンで集めるしかないが、どうせ行くんだから問題ないな。

「ふぅ!興奮するな!この質感!良いものだ!」

 と剣を持って自分の鞘に納めるとこちらに向かってグッドサインをする。


 座間から送ってもらい部屋に着く頃には夜中だ。

「ありがとうアンディー!」

「こっちこそありがとう!」

 と別れて家の中に入りようやく今日が終わったのを感じてクリーンだけかけて眠りにつく。

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