第22話 ニーズヘッグ


「オラァ!」

 と薙ぎ倒すのはサイクロプス。

「はぁ、はぁ、本当にこっちの身がモタねぇよ」

 金の宝箱なんて、もう嬉しくはない。

 一応取っているがマジックバッグ系やアクセサリーなんかが多いのだ。

「フッざけんな!」

 とまたサイクロプスに瞬歩で突っ込んで行き倒して回る。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」

 ようやく50階層の扉を開くと、


「待っておったのじゃ!はようこっちへ来い!」

 黒いゴスロリを着た子供?がいた。

「…は?」

「我にお菓子とやらを持って来たんじゃろ?はようこっちへ来い!」

「わ、分かった」

 俺は訳のわからないままそっちに向かう。

「ここじゃ、ここに出してくれ!」

 訳がわからないが収納から菓子を大量に出すと、

「これじゃ!これじゃ!あむ!あまぁい!」

「悪い…混乱している、なぜに菓子を?」

「ん?ファフニールが自慢しおってな!ダンジョンのドラゴン全員に連絡して来たんじゃ!悔しかったのぉ!」

「ファフか…あいつ!」

 そんなことしたら欲しがるだろうが!

「いやぁ、しかし美味いのぉ、我は我慢できずに外に出るところじゃった!」

「そうだった、封印が解けると言われて来たのだが封印は何処だ?」

「ん?この指輪じゃ、割れておろう」

「リワインドリング!」

 これで封印が出来た。

「お、おぉ!直ったのじゃ、気に入っておったからのう!」

 これで封印はオッケーだな。

「じゃあ俺帰るから!」

 と帰ろうとするが、

「やなのじゃ!もっと遊ぶのじゃ!」

「困ったな、他にも渡しに行かないと」

「そ奴らは待たせておけばいいのじゃ!」

「おいおい、めちゃくちゃだな。他の奴もまってるんだろ?」

「泣くぞ!」

 涙を浮かべるニーズヘッグ。

「は?」

「な、泣いたらこんな大陸いっぺんに吹き飛ぶからな」

「や、やめろ!…分かった、少しだけなら」

「やったのじゃ!」


「じゃー行くのじゃ!」

 フッと消えたニーズヘッグ。

「は?!」

“ガギンッ”


“ドォン”

「く、グハッ!ガハッ!ひ、ヒール!」

 壁にぶち当たり今までのどんな攻撃よりもダメージを受けた。

「なんじゃ?弱いのじゃな!」

「お、お前!いきなりやっといてそれはないだろ!」

「遊びと言ったではないか!」

「遊びにも種類があるだろーが!」

「こ、これしか知らないもん!」

 くっ!ヒール!一回じゃ治りきらなかったか!


「はぁ、ここにコンセントというものはあるか?」

「コンセント?電気のやつか?作れるぞ」

「Aタイプと言われる一般のコンセントを作ってくれるか?」

 とスマホを見せる。

「わ、分かったのじゃ!」

 よし、これでいい。


「ほら、これでゲームができるぞ」

 俺はテレビと家庭用ゲーム機を出して繋げる。

「な、なんじゃこれは?」

「このコントローラーで動かすんだ」

「な、なんと。こんなものがあるなんて!」

 と驚いている。

「日本語は読めるよな?」

「我はなんでも大丈夫じゃぞ?」

「ならいい、ほらスタートだ」

「おほ、動く、動くぞ!」

 有名なレースゲームをやらせる。

「な、くそ!えへへ!まいったか!」

「ドベだな」

「嘘じゃ!我は勝ったぞ!」

「周回遅れでな、まぁ、最初はこんなもんだ」

「きー!悔しいのじゃ!もう一度!」

 と言ってまたやっている。コントローラーを動かして身体も一緒に動いている。

「や、やったのじゃ!勝ったのじゃ!」

「良かったな」

「面白いのじゃ!いいものじゃの!」

「ああ。まだゲームはたくさんあるから飽きることはないぞ」

「おっほー!いいのぉー、これで暇がなくなるぞ」

 と無邪気な顔を出すが、

「壊すなよ?また持ってくるのも大変だからな」

「わ、わかったのじゃ」

「じゃあ今度こそまたな」

「うん、またくるのじゃぞ!」

「そのうちな」

 と転移石に触れる。


「加護を与えたもんね…」


 外に出るとようやく落ち着くことができたと思ったら。

「クソッ!やっと出て来やがった!」

 と朝の男が銃を持って大勢で来ている。

「なんだ、まだなんか用なのか?」

「や、やれ!」

「サンダーショック!」

“バタバタ”と倒れる仲間達、

「あ、い、いや、くそ!」

「サンダーショック」

 永遠に眠ってもらっても良かったのだがそれをすると人殺しになってしまうからな。

 男どもはそのまま放置してホテルに戻る。

 どうせダンジョンを回らないといけないがただ甘いだけの砂糖の塊や、健康志向のビスケットなんかを求めてる訳じゃないんだろうから日本に一度戻らないとな。

 

 チケットを予約して少しカジノとやらをやってみる。が、幸運が邪魔をして当たり前に当たるのでまたホテルに帰って来た。

「はぁ、そうだった幸運があったんだったな」

 ここで億万長者になってもいいがただでさえ銀行に10億もあるんだ、今や欲しいものもないのに金だけ持っててもしょうがない。

 いや欲しいものはある!平和な世の中だな。


 そんなものはもう手に入らないかもしれない、そう思いつつアメリカを後にする。

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