第21話 双子


 手招いている方に行くと双子?と思われる美女が座ってお茶を飲んでいた。

「まぁ、美女ですって、お姉様」

「ウフフ、嬉しいものですね」

「そうですね、まぁ、お座りなさい」

 考えてることが筒抜けだな。

「あなたが考えているように私達は神という言葉で呼ばれているものです」

「双子というのもあながち間違っていなくてよ、私達は次元が違ったのですから」

 じゃあ、地球の神とパンゲアの神か、

「理解が早くて助かります」

「貴方イクシードなのね、何年ぶりかしら?」

「何千年ぶりですわ、お姉様」

「そうだったかしら」

 時間の感覚が無いんだな。

「そうですのよ」

「パンゲアには時間を測るなんてこと無かったですわね」

「お姉様はだからゆっくり時が流れていらっしゃいますの」

 それでどうして俺がここに?

「そうですわね、まぁ、お茶でも」

 とお茶が出てくる。

「まぁこのままだとダンジョンの封印が解けてしまうということですわね」

「は?」

 思わず声が出てしまったが、

「まぁ驚くのも無理はないですがこちらとパンゲアがぶつかる直前に高次元の神が手を出したのです」

「私達で駆除しましたがそれがダンジョンに影響しています」

 他に影響は?

「ほぼ地球が覆い被さるようにしてパンゲアと同化したので外側は地球で中にパンゲア、そしてそこからダンジョンという風になっていますわ」

「話を戻して、高次元の神のイタズラでダンジョンの封印が解けかけています」

「ですので私からは封印を」

「私からは時の魔法を」

 と言って俺の胸に吸い込まれて行く。

「ダンジョンの場所は分かりますね?」

「それはわかる」

「では、貴方にダンジョンのことは任せますので」

「は?神がなんとかできないのか?」

「「無理です」」

「私達神は手出し出来ません」

「何故なら神だからです」

 ならなぜ俺に?

「イクシードだからですね」

 はぁ。

「時の魔法で時間を繰り返しそれを封印するのです」

「そうか、だからいつまでもモンスターが出てくるのか」

「モンスターは封印されている竜のエネルギーから生み出されますから竜が一定以上の力を持つことができないようになっています」

 そういう仕組みか…

「まずはニーズヘッグのダンジョンの封印が先ですね」

「それは何処に?」

「マップも差し上げましょう」

 アメリカかよ、最初が海外か…

「移動はできますか?」

「あぁ。なんとかなると思う」

「ダンジョンが七つ、よろしくお願いしますね」

「分かりましたよ」

「それでは」

「ご機嫌よう」

 

 俺は教会で膝をついたままだった。

「どうしたの?」

 ちょうどカオルが声をかけて来たので、

「アメリカ行きのチケットを頼む」

「は?え?わ、分かりました」

「ラスベガスに行ってくる、俺1人でいいからな」

「私達は?」

「今回は本気でやらなきゃいけないようだ」

「…足手纏いになりますね」

「すまんな」

「いいえ!私達だって頑張りますから!」

 

 さっさと済ませたい俺はその日のうちに羽田まで行く。

 そしてソウルを経由してラスベガスまで飛んだ。

 途中で『言語SP10』を取ってこれでアメリカでも言葉がわかるな。

 ベガスのホテルにチェックインしてダンジョンはすぐに見つかった。

 やはり眠らない街だ、カジノもあれば盛大なショーもある。

 そんな中、男達がこぞって並んでいる先にダンジョンがあるのだからな。一攫千金を狙っているのだろうな。


 明日からまたダンジョンか、はぁ、先が思いやられるな。


 次の日は朝イチから朝食も食わずにコーヒーを飲みながらダンジョンの列に並ぶ。

「おいおい、日本人か?中国人?わからねえけどお前らみたいなのが並ぶなよ!」

 でかい図体した男達が列に割り入ってくる。

「はぁ。言葉を選べ!死にたいのか?」

「おーこわっ!こいつ喋れるみたいだぜ?」

「ならどきな!お前みたいな奴がいると時間の無駄だ」

「うるせぇよ!こっちは気が立ってるんだ!黙らないと殺すぞ!」

「殺せるものならこッ!」

「本気で殺すぞ?」

 剣を喉元に置いていると、黙って後退りして逃げていった。


 はぁ、こんなチンピラに怒ってもしょうがないだろ。


 ダンジョンの中にようやく入ると下の方から威圧感が感じられるな。

 くそっ!俺はこんなことをするために生きて来たわけじゃないんだぞ!

 1階層でわちゃわちゃとしているのですぐに2階層まで行けるわけじゃない。と、頭にゴリッと当てられたものを感じるが、

「お前は俺を怒らせた!だからギャァ!」

 剣で手首ごと斬ってやった。

「誰が誰を怒らせたんだ?」

「お、俺の手が、手がぁぁぁぁ」

「お、俺たちは止めたんだ!本当だ!」

「チッ!早くそいつを病院に連れて行け!」

 男達は担いで外に出て行く。


「あぁ。もう!!」

 2階層からは順調にモンスターを倒していき、15階層のセーフティーゾーンで休憩をする。

「チッ!下からの威圧が強くなってるな」

 25階層で今夜は寝るが、本当にこの威圧は止まらんのか!


 30階層はヘビーマウンテンというネームドモンスターで山のような亀だ。噛みつきや炎の魔法を使ってくるので「アブソリュートゼロ」で凍らせて斬ると消滅して行った。

 鉄壁の盾というものをドロップしたが、盾は使わないから収納だな。

 35階層で一服して、40階層、ベイビークラウンと言うネームドモンスターで、道化師の格好をしているが、ナイフで攻撃して来たかと思えば爆弾が本命だったりして攻撃しづらい!

 瞬歩で近寄り斬ると二つに分離してしまい攻撃が二倍になる。

「クソッ!サンダーインパクト」

『…』

「こっちが本体かよ!」

 と本体を切り倒すと消滅した。

 クラウンダガーと言うものをドロップしたが、今のところ使い所がないので収納だな。

 宝箱も出て来ているがまぁ、そんなに変わったものはなかった。


 45階層に行き一服していると、今までで1番の威圧が襲ってくる。

「クッソ!なんだってんだよ!」

 チョコを丸齧りして次の階に足を進める。

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