第20話 教会


 収納からお菓子を包んでいる巾着を取って、初めて使うが空間魔法で中を広くする感じで、あと認識を付与魔法でくっつけると。

「できたな…」

 流石にマジックリングはどういう仕組みかわからないからできないが、これならできるな。マジックボックスも出来るだろうな。


 まぁ、また今度でいいか。

 今はゆっくりしておくのがいいな。

 と、コーヒーを飲みながら外を眺めていると外から甲高い音が聞こえてくるので下を見る。

 ミャーとアルが稽古をしていた。

“カン!カカン!”と音が響いている。

 みんな熱心だなぁとみていると、ククル達が気付き手を振っているので手を振りかえす。


 身体を巧みに捌いて相手に攻撃しているミャーに、剣を使いできるだけ最短で守るアル、なかなか見応えのある試合のようだ。

 2人とも汗が吹き出てタオルを受け取るとこっちに気づいて手を振ってくる。

 すごい笑顔だが今やっていたのは際どい攻撃ばかりのどっちかというと試合じゃなくて死合に近かったような気がするんだがな。

 手を振り返してまた椅子に座りぼーっとする。


 なかなか、のどかでいい街じゃないか、異国感はあるけど兵庫だしな。


 夕食は下の酒場で食うことになっており、いろんなものが出てくる。オークの煮込みやステーキ、ボアの香草焼き、サラダなど異文化の食材を使ったものばかりだな。

 中々味わい深いものが多くて飽きない。


 それにしてもこっちの人間はどこに行ったんだ?ってくらい日本人がいるな。

 まぁ、日本人はテーマパークとしか思ってないだろうけど、こっちの人間はこっちのお金を獲得しようと動いてるんだろうな。


 まぁ県を跨いでいけば鬼の森だからモンスターはいるし、冒険者は仕事にあぶれることはないだろうな。

 

 と色々と考えていたらこっちを見る視線が、…まぁ、可愛い子ばかりだしハーレムっちゃハーレムだからなぁ。

「おいにいちゃん!オメエばっかりおかしくねえか?」

「るさい!あんたなんかに用はないのよ!」

「そうよ!貴重な時間をあんたに使うのが勿体無い!」

「どっかいけ!」

 と罵倒されてよろける男は戦意喪失したのか、自分の席に戻っていく。


「御愁傷様」


「なーに?拝んでんの?」

「おま、カオル!酒飲んでるのか?」

「飲める歳ですからね!」

「あ、そうか」

「で?どうなの?わたしとか、わたしとか、わたしは?」

「カオルのことか?可愛いと思うぞ?」

「きゃー!やったぁ!」

「待て!私はどうなんだ!」

「アル?女として見てからは綺麗としか思わないが?」

「よしっ!」

 その後はみんなを褒めるだけになってしまって、八方美人と言われようがみんな可愛いから仕方ないのだ。

 そしてついに来た、

「「「「誰が1番?」」」」

「は?こんなオッサンに決める権利はないだろ?」

「オッサンじゃないじゃん!」

「そうよ!なんで元よりかっこよくなっちゃうかな?」

「こっちが選ばれる方なの!」

「いやいや、俺は今のところ彼女作る気はないからな?」

「えぇーー!作れよ!」

「つくるにゃ!」

「なんなら全員でもいいぞ?」

「お!それいいねぇ!」

「こら!酒の席でそんな会話はしちゃダメでしょ!」

 シラフでもダメだがな。

「だって、好きなんだもーん」

「しょうがにゃいよにゃー」

「わ、私が1番好きだからな!」

「違うの!みんな好きなの!」

 えーい!酔っ払いが集まると大変だ!俺は酔えないしな!


「ほらほら、みんな、スズトさんが困ってますからね?そろそろお開きです!」

「「「「はーい」」」」

 とミレイさんの一言でなんとかなったが、

「私も好きですよ?」

 と最後に言われてしまい、気にしないわけにはいかなくなってしまった!

 落内はいないし、俺は誰に相談すればいいんだよ!


 眠れない夜をゆっくりと過ごし朝になる。

 みんな酔って寝たから二日酔いにでもなってるかと思えば逆に色々言えてスッキリしたのだろう。無駄に元気だな。

 こっちは寝不足なのに。


 こっち特有の黒パンと言う硬いパンを食べながらシチューを食べる、朝食はやはり日本がいいな。

 今日はみんなで神殿に行き祈りを捧げるそうだ。運が良ければスキルを授かるようだが、また長蛇の列だな。

 まぁ、みんなカオルからスマホをもらったみたいで使い方でまだ分かっていないところを教えてもらったり、写真を撮ったりしている。

 まぁ、いい暇つぶしのオモチャのようだな。

 そしてドンドン先に進んでいくとお布施が一万円かよ!ボッタクリもいいとこだな。

 しょうがないから払って皆んなで石像の前に行くとなんだか心洗われるような気がするな。

 膝を立てて祈りを捧げると、知らない場所にいた。


 立ち上がり周りを見るがみんなはいないし教会でもない。

 ここはどこだと前に歩いて行く。

 林のような場所を抜けて草原が広がる。


 その一画に建物があり、お茶を楽しむ2人の美女が見える。


 そこに行くしかないので歩いて行くと、あちらも気がつき手招きをしている。


「初めまして、ここは何処ですか?」

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