第19話 街の中


「よろしく!ティルだ、仲間のAとBだ」

「ふざけるなよ!俺はサランにこいつはヴィウスだ」

「「「「よろしく」」」」

「親父さんは元気してるか?」

「おう!元気に金槌打ってるよ!」

「よし、なら行こうか!」

 ティル達と別れ、街を練り歩く。

「やっぱりポーションは結構な値段がするんだね」

「やめとけやめとけ、それは高すぎるよ」

 とククルが言うと、

「チッ!」

「おぉ、騙されるとこだった」

 とレイナがポーションをもどす。

「結構な店がぼったくってるな」

「ったく、珍しいからって買う人がいるからな」

 と石畳の道を登って行くと裏通りに出る。

「ここやばそうな雰囲気」

「まぁ、私達に勝てるごろつきがいればだけどね」

「それはそうね」

 と笑っていると、

「おう、姉さん達、ここらは来るとこじゃねーぜ?帰りたかったら一万円だ」

「この人数に勝てるとでも?」

「…チッ!こっちの人間かよ!」

 と言って戻って行く。

 はぁ。一万円って!具体的な値段設定だな。

 奥に行くと職人街のようで、一軒のボロ屋に入って行くと、

「親父さん!また来たよ!」

「ん?おお、アルちゃんか!他のみんなも元気そうだな!お?みない連中だな」

「新しく仲間になったのさ、で?ちょっと作って欲しいものがあるんだけど」

「おう、いいぜ!どんなんだい?」

 俺は中を見ている。吹子に金床やハンマーが数種類かかっていて、その奥には煌々と燃え盛る炎がちらちら見える。まさに職人の家だな。

「わかったよ、ついにアルにも春が来たのか?」

「ち、違うって!違うから!」

 と親父さんは俺を見て、

「へえ、エルフみたいに線の細いイケメンだな?」

「ん?俺か?」

「んで持ってるものも一級品だなおい!その刀見せてくれ」

「ん?あぁ」

 渡すと刀身を見て感嘆の声を出す。

「ありがとう、これは特級品だな」

「あぁ、まぁな」

 そしてアル達と話し始めてようやく決まったみたいだな。


「じゃあ、三日後ね」

「おう!いいもの作っておくぜ!」

 と言ってまた来た道を帰っていると、

「だから一万円だ!早く払え!」

「ひえぇ!」

「はぁ、払わなくていいぞ」

 と俺が出て行く、

「あん?さっきの兄ちゃんか、これは俺らのしのぎだ、邪魔するなよ!」

「目の前でそんなことされると気分が悪い」

「はぁ?んなこたきいてねぇんだよ!」

 と殴りかかってくるので逆に殴り返したら吹っ飛んで行った。

 どういうことだ?力加減を間違えたか?

「てめぇ!」

 もっと弱めに殴ると普通くらいだな。

 力にも補正がかかってるのかよ…

「ほら、行きな」

「あ、ありがとうございます」

 と走って行った。

 大通りに出ると壁にぶち当たってるさっきの奴にヒールをかけてやると、悲鳴をあげて逃げ出した。


 今日の宿を紹介してもらい、1人部屋でゆっくりしている。スマホで世界情勢を見たが、アメリカは帝国とはまだ何も始まってないみたいだな。中国が王国を狙っているようだがロシア側だから何とも言えない状況か。

 仲良く出来ないもんかね?


 そして聖教国はサハラ砂漠にあるので大変らしく近くの国が水の配給を行っているようだ。まぁサハラ砂漠に木が生えて来たらしいがな。たぶん森になるんじゃないだろうか?


 その他の村や街はそれなりに馴染んでいるようで何よりだな。


“コンコン”

「どうぞ」

 と俺は椅子に座ってコーヒーを飲んでいると、入って来たのはカオル、ミオ、レイナの三人娘とミレイさんだった。

「どうしたんだ?」

「私達もイクシードになりたい!」

「は?なりたくてなれるもんじゃないぞ?」

「そうなの?」

「あのな、すげぇ筋肉がブチブチ言って血を吐いて頭の血管が何本か切れたと思うくらいきつかったぞ?」

「げっ!」

「それ本当?」

「あぁ、なんかドラゴンが光を俺の中に入れたらそこから最悪だったからな!よく生きてられたよ」

「そっか、なら無理そうだね」

「おすすめはしないぞ!」

「あ、マジックバッグは持ってないの?」

「おお、あるぞ、2個」

「そこは3個か4個持っといてよ!」

「しょうがないだろ?ほれ、ミレイさん」

「え?私にですか?」

 バッグを渡すときょとんとするミレイさん。

「ん、1番荷物が多いじゃないですか、だからあげますよ」

「ミレイは貰っとけばいいよ!絶対役立つしね!」

「はい!ありがとうございます」

「あと一個か」

「じゃーんけーん」

 ということでミオが持つことになった。

 ミオはもうつけている。

「く、またマジックバッグがあったらよろしくね!!」

「分かったよ」

 と言って部屋を出て行く。

 

 それからステータスを見ながらSPの使い道を探すと『空間魔法SP100』『認識SP20』『付与魔法SP50』と取ってみた。

 これでマジックバッグが作れるんじゃないか?

 

 まぁものは試しでやってみるか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る