第24話 マジックバッグ


 次の日の朝はスッキリとした目覚めだ、鬼の森と呼ばれるこの千葉でもゆっくり眠れているのは他の冒険者がこちらに流れて来ているからだそうだ。

 外を見るとゴブリンをちょうど倒したようで魔石を拾っている。


 これが日常とは思えないが、日常になってしまっているのでしょうがない。

 秋になり過ごしやすい季節になって来ているし朝晩はそれなりに冷たい風が吹いている。

 と言ってもイクシードになってからは暑さや寒さをあまり感じない、まぁ丈夫になったと言うことかな?


 さて、次に向かうところを決めようと思ったら地図が光っている。ここにいけと言うことか?

「まぁ、一週間は先だけどな!」

 地図を見るとここはドイツかな?ったくまた遠いじゃないか!


 地図を収納して、スマホを見るとみんなからまたメールが届いているが、どれもいつ空いてるかと言うお誘いのメールだ。今はそれどころじゃないのにな。


 とりあえずめんどくさいことから進めようと、カオルにメールして、桐生院の家まで行く。

「お久しぶりです」

「ミレイさんもお久しぶりです」

 と挨拶を交わして中に入って行くと、カオルが突進してくる!

「もう!心配したんだからね」

「あぁ、悪かったよ」

「っとに!ベガスは楽しかった?」

「は?ダンジョンに潜ったたんだぞ?楽しむ余裕はないだろ」

「それもそうか、次はどこなの?」

「多分ドイツ辺りだな」

 本当にこの前までは考えられないくらい行動してるよな。

「そうなんだ、また遠いねぇ」

「おう、遠い…」

 俺が肩を落としたいくらいだよ。


 中に進んでいくと桐生院が座って待っていた。

「ご無沙汰してます」

「いや、ダンジョンに行っているのだろう?話はカオルから聞いたよ」

「そうですね、ダンジョンを封印していかないといけないので」

「他の人間では?」

「無理ですね、まずは50階層まで行ける人間で封印と時魔法が使えなくてはいけないですから」

「…それは無理だな」

「あぁ、これを」

 とミレイさんに渡す。

「これは?」

「身代わりのネックレスらしいので桐生院さんにと」

「分かった、着けておこう」

「あれアルたちは?」

「多分ここらのゴブリンを狩っている。奥地だから湧きが早いらしいのでな」

「そうですか、それならこれを」

 とマジックバッグを出す。

「え?!こんなに!」

 とレイナが驚く。

 まぁ、ほぼマジックバッグだったからな。

「これは私たちのも?」

「そうだ、見つけてこいと言ってただろ?」

「そうだけど…」

 人数分以上あるはずだからあとは柄や形はお好きにだな。

「あとこれは桐生院さんに」

 とマジックボックスを出す。中には魔石を入れてある。

「おぉ、マジックボックスか、中身は」

「魔石ですね」

「よくやった!ありがとう!」

 あっと、そうだ、これを確認して、と取り出したのは巾着だ。

「ん?お菓子?」

「いや、マジックバッグになってるな!よし、これで俺はマジックバッグが作れますよ?」

「「「「ええー!!」」」」

「ど、どう言うことだ?」

「空間魔法と認識と付与魔法で作れないかとこの巾着に付与していたんです。結構前に作ったんですが問題なさそうなので、あと時魔法が使えるようになったので時を止めることもできると思います」

「そ、そうか!それは凄いな、私に作ってくれないか?」

「良いですよ」

「あ、ちょっと待ってください」

「どうしたんだ?」

「これでよし!重力魔法も取ったので重量が変わらないようにできます」

 『重力魔法SP100』で取ったのだ。


「よし!これをマジックバッグにしてくれ!」

 とクラッチバッグを手渡される。

 カオルは部屋から出て行った。

 クラッチバッグに空間魔法で大きくして、時を止め、重さを一定にして、認識を付与し、出来上がりだ。

「どうぞ」

「お、おお!」

「ミレイさんのも」

「は、はい」

 とマジックバッグから自分のクラッチバッグを取り出してくるので中身を出してもらい、同じように付与する。

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

「こ、こ、これもお願い!」

 とカオルが持って来たバッグにも付与し問題なさそうだな。

「ありがとう!」

「よし、報酬はまた口座に振り込んでおくよ」

「はい!」


「ミオとレイナに連絡したから!ここで待ってるでしょ?」

「わかったよ」

 と桐生院家で待つことにする。


 部屋の中もなんなので縁側に出て座っているとお茶を出してくれるミレイさん。

 カオルから色々聞かれて答えているとあっという間に時間が経って2人とも一緒に来た。

「私はこれ!」

「私も持って来ました!」

「はいはい」

 と付与してやると2人ともピョンピョンと飛び回って嬉しそうだ。

 喋っているとアルたちも帰って来て、

「へぇ、女の子らしい装備に変えたんだな?」

「似合うかな?あの街で作ってもらったんだ」

 トレードマークの赤い鎧だが、女の子らしさがあり凛としていてアルによく似合っている。

「似合ってるよ!凛とした戦乙女ヴァルキリーだな」

「えへへ」

「ミャーも変えたにゃ!見てみて!」

「へぇ、中華風の服だね!かっこいいよ!」

「にゃー!」

 と2人とも恥ずかしそうにするなよ。


 喋っているとミレイさんが

「お食事をご一緒にどうぞ」

 と言って来たのでご相伴に預かることになった。

 桐生院がお誕生日席に座って右側にカオルたち、左側に俺、アルたちが座り食事をする。

「そんな固くならなくても良い、旅の話を聞かせてくれ」

「はい、ベガスでは…」

 と、みんなビックリしたり笑ったりと楽しい食事になった。


 ふう、これで桐生院家のことも終わったな。

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