第17話 イクシード


 俺はまたダンジョンに潜って41階層にいる。

 ミャーはまだ自分で攻略していないと言って35階層のセーフティーゾーンから40階層を目指している。

 他のみんなもいま25階層のセーフティーゾーンにいるみたいだ。

 とりあえずこのまま先に進もう。

 夜桜の切れ味がやばくて、モンスターは触れるだけで消滅してしまう。

 使いやすいが危ないな。

 まぁ、45階層のセーフティーゾーンにこれたのはいいことだな。

 それにしても何階層まであるのかな?

 このままじゃ、とても攻略に時間がかかるな。

 考えててもしょうがないから先に進むか!

ここから先は大型のモンスターらしく、ゴーレム、大亀、ミノタウルスなんかが出てくるが夜桜の敵ではないな。

 いい武器を手に入れたな。

 節目の50階層のボス部屋はワンフロア使ってるらしく階段を降りたらすぐに扉があった。

 意を決して扉を開けるとそこには白い竜が寝そべっていた。

 これは敵わないと、帰還石を持つ。

『何故逃げる?ここに戦いに来たのではないのか?』

「い、意思疎通ができるみたいだな、何故このダンジョンにいるんだ?」

 怖いが興味が勝ってしまった。

『それは我の勝手だろう、それよりも戦わなくて良いのか?』

「いいや。喋れるやつとは仲良くいたいからな」

 ドラゴンは笑いだし。


『お前は今まで会った中で飛び切りぶっ飛んでおるな』

「そうか?喋れるなら喋って知識をもらった方がいいだろう?」

『わかった、戦わないでおいてやろう。何が知りたい?』

「なんで惑星同士が同化したのかが知りたい」

『それは知らぬ、波長、時間、空間などが全て合致したのであろうな』

「なんだ、なんでも知ってるのかと思ったよ」


『ダンジョンにおるのに同化したのを知ってるだけでも凄いことじゃろ?』

 デカいドラゴンはすこし戯ける。


「まぁ、そうだな。じゃあ、ダンジョンはここで終わりか?」

『そうじゃ、まだ戦い足りなければ』

「いらん!ここで終わりが見えたのならそれでいい。何故ダンジョンにいるんだ?」


 ドラゴンは少し考えると、

『昔、星の涙と言われる大きな戦争があった。まぁ、簡単に言えばその頃活躍していた時の賢者が我ら七匹の竜を封じ込めた。その一つがこのダンジョンだ』

「へぇ、時の賢者ね」

『それよりお前は何か持っておらぬか?』

「ん?食い物か?ならあるぞ。全部出してやる」

 と収納から全部出す。


『おお、知らぬものがたくさんあるのう、この体じゃ食べにくい』

 と人間の女?の体に変化した。

 白い衣を見に纏って銀髪の髪、銀色の目をした綺麗な女だ。

「これで食べられる!とりあえず収納」

「収納もできるのか?」

「人間にできて我にできないことなぞ少ない」

 と腕を組むとそっぽを向く。

「そう言うものか、それにしても人に化けれるのだな」

「まあな、それよりこれはどうやって食べるんだ?」


 蓋を開けてやりスプーンで食べると教えると、

「か、甘味じゃ!美味いぞ!この白いのが特に美味い!」

 と女の子用にと買ってあったパフェを一口食べると涙を流し喜ぶ。

 そしてがっつくなよな。


「ドラゴンも名前があるんだろ?俺はスズトだ」

「ん?我はファフニールだ」

「そうか、ファフでいいな」

「な、短くしよって!まぁいいがな。モグモグ」

 とあぐらをかいてパフェを頬張る姿はただの子供だな。


「なぁ、ファフは外に出たいと思わないのか?」

「別に不自由せんからのぉ、それに今はスズトがおるではないか?」

「ん?もしかして定期的に来いと言っているのか?」

「そうじゃ!だって、ここまで来た人間の中で友達になったのは初めてじゃもん!そりゃ会いにくるよな?また食べ物を持って?」

 勝手を言っているが人間なんてすぐに衰えるぞ?

「食い物かよ!その願いは約束しかねるぞ?人間なんて寿命が短いからな」

「ほれ!…1000年ほど寿命を長くしといたぞ!」

 指から何か出て俺の中に入って来たと思ったら、

「ふざけんなぁ!人間やめちまっただろうが!」

「まぁ、そう喧々言うな、それよりこれはどう食べるのじゃ?」

「これは箱を開けて中身の袋を開けて食べる」

「こ、これも甘味じゃ!」

「チョコだな」

「うむ、気に入ったぞ!この世界は甘味に溢れておる!」


 それからも開け方を教えるとすぐに吸収していろんなものを食べ始める。

「いいのぉ、今度はもっとたくさん持って来てくれ」

「分かったよ、クリーン」

「おう、気がきくのう」

 食い方が汚いからな。

 地図を出すように言われたので地図を出すと、

「それ、…今光っておるのが七つのダンジョンじゃ、まぁ、暇なら行ってみるがいい」

「いや、行かないし?だってここにくるのも大変だったんだぞ?」

「ん?お主はまだ限界にも到達しておらぬのぉ。じゃあ、ほれ!」

 と言って指先から光が出て俺の中に入ってくる。

「グッウガァァァァ」

 骨が軋み肉が断裂しくっつくような痛みが身体中を駆け巡る。

「ほれがんばれがんばれ!」

「グウゥゥ、ガハッ、ゴボッ!ガアァァァァ」

「人が食うておるときに吐くなよ、クリーン」

 と我関せずのファフに殺意が芽生え始める。

「ぐ、クソッタレェェェェェ」

“ドォン”と言う音と共に服が破れる。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」

「おめでとう、お主はイクシードと言う種族になった」

「はぁ、はぁ、は?イクシード?…はぁ」

「人を超越したものじゃな、これでお主も限界を突破したみたいじゃな」

「俺は普通の人間でよかったのに…はぁ、それより着替えるからあっち向いててくれ」

「別に我は気にしないぞ?」

「俺が気にするの!」

 と鎧を外して破れた服も取り去り、新しい服に着替える。鎧は収納に入れておくか。


 どうしてこうなった…

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