第15話 ミャー


 レベル上げに明け暮れて三日、ウルフ系は余裕が出て来た。上級魔法との連携もスムーズになったし、次の階層に向かうとボア系だった!

 猪突猛進。20頭ほどが列をなして走ってくる。

「アブソリュートゼロ!」

 足が凍りついて動けないボアの頭を踏みつけながら倒して行く。

「流石にこの巨体が走って来たら怖いわ!」

 ドロップは肉と毛皮と魔石だ。肉は食用可能と出ていたのでセーフティーゾーンに戻ったら食ってみるか!

 ステータス、

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 時雨涼都シグレスズト 30歳

 レベル65

 スキル 剣術極 体術極 収納 鑑定 瞬歩 上級6大魔法 上級回復魔法 生活魔法 魔力循環 魔力強化 索敵 

 ユニーク 幸運 魔法の素質

 称号 第一討伐者

 SP 1032

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 ゴブリンソードに肉を刺して焼いている。その間にステータスを見るとそれなりに上がって来ているのでそろそろ40階層を目指してみようかな。

 といい感じに火で炙られている肉を食ってみると、

「あ、アツッ!美味い!これは美味い!」

 そこらの肉と比べ物にならないな!

 少しクセがあるが柔らかくて美味いぞ!

 これはお土産に取って行かないとな!

 1ブロックを完食して満足したのでテントの中に入って寝袋で寝る。


「おきるにゃ!」

「ん、んん!だ、だれ?」

「ミャーはミャーにゃ」

「はぁ、ミャーね、で?」

「セーフティーゾーンだからって寝てるのはどうかと思うにゃ」

 まぁ、言われればそうだが1人なんだからしょうがない。

「わかってるが、ここまで人が来るとは思わなかった」

「ミャーも人がいるとは思わなかったにゃ」

 ショートカットの錆猫?の獣人かな?耳と尻尾以外は人間だな。

「1人なのか?」

「そうにゃ、ヒューマンでここまで来るとは凄いにゃ」

“グゥグゥゥ”

「ち、違うにゃ!いまのは」

「さて、飯でも食うか。食べるだろ?」

「い、いいのかにゃ?!」

 シャケ弁を二つ出して先に食うと同じように食う。

「美味いにゃー!なんにゃ!このピンクのは!」

「シャケだ、ほら、俺のもやるよ」

「し、親切にゃ!」

 とガツガツ食ったら眠かったのか寝てしまった。

 しょうがないから寝袋を掛けてやり俺は準備運動をして狩りに出る。


 レベル上げをして戻って見るとまだ寝ている。

「おい、起きろよ!」

「にゃ!だれにゃ!」

「お前は朝のことも忘れるのか?」

「…ご馳走様でした」

「そっちかよ!」

「あ、あはは、ミャーも寝てなかったからにゃー」

 と笑って済ませるミャー、

「ミャーはなんでここに1人できてんだ?」

「それは1人でレベル上げをするためにゃ!他の弱いのとパーティー組むのは嫌にゃから」

「へぇ、それだけ強いんだな」

「お前は?なんで1人なんだにゃ?」

「俺はスズトな、俺は仲間から言われて1人で潜ってる」

「へぇ、スズトだけか?他のメンバーは?」

「潜ってると思うよ、まだ浅いとこだろうけどな」

 ふーん、と言ってまた腹を鳴らす。

「食い物くらい持って来てないのか?」

「持って来たけど尽きたにゃ」

「肉ならこの下に取れるとこがあるぞ!」

「本当か?く、食えるのか?」

「まぁ。食ってみろよ」

 ゴブリンソードに肉を刺して渡し、火をつける。俺の分も作って焼いて行く。

「あっ、あつっ!う、うみゃい!」

「だろ?」

 ダンジョンの中にいい匂いをさせながらペロリと平らげる。

「よし!元気いっぱいにゃ!」

「それは良かった」

「スズトはいいやつだにゃ!」

「んなことはないが、何層まで行くつもりだ?」

「40階層のボスが倒せないんだにゃ!」

「そうか、強いのか?」

「当たり前にゃ、クワドロってネームドモンスターニャ」

「んん?名前からはわからないな」

「スケルトンナイトにゃ、凄い技ばかりで相手にしてもらえずに帰還石を何回使ったか」

「へぇ、帰還石なんてのがあるんだな」

「は?帰還石も持ってないにゃ?ほれ!」

「おっと」

 受け取ると魔石によく似てるが丸く加工してあるな。

「飯代だにゃ、使い方は下に投げて割るだけだにゃ」

「そうか、ありがとよ」

 と収納に入れておく。

「それじゃあ行くにゃ!ありがとにゃ!」

「おう、気をつけろよ」

 ダンジョンの中は朝も夜も関係ないからな。

「さて、俺ももう少しレベル上げをしに行くかな」

 ミャーの後を追いかける感じになるがモンスターは湧くだろうしな!


 と思ったらすぐに追いついてしまった。

「オラ!んにゃ!」

 とガントレットをつけたミャーは格闘家か何かみたいだな、超接近戦じゃないか。

 苦戦しているようだし入ってもいいだろう。

「助太刀する!」

「く!しょうがないにゃ!」

 と2人でウルフを倒して周り、ようやく一息つくと、

「スズトは強いにゃ」

「まぁウルフ系はもう大丈夫だな、この次のボアが肉を落とすぞ?」

「なら行くにゃ!」

 と二つのガントレットを鳴らす。


「よしいくにゃ!」

「おう!」


 降りて行くとボア系が走り回っている。

 その中に入って行くミャーの後に続くと、ボアのこめかみを、ワンパンしているので俺も真似してみたらやはり体術極だから余裕でできるな!

 だが手が痛いのでやはり剣になる。

 ここもミャーと2人なら余裕があった。

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