第13話 幸運


 次の日は迎えに来てもらい羽田に行くと福岡まですぐだ。

「な、なぜみんな普通にしている!怖くないのか!」

「落ちないから黙って座っとけばいいぞ?」

「そ、そうなのか、だが心配なんだが!」

「大丈夫!ほら手でも繋いでやろうか?」

「あ、あぁ、よろしくお願いします」

 とアルの手を握ってやる。


 福岡に着くとレンタカーで落内が運転して八女市まで行くと凄い人だかりができている。

「これ以上進めませんね」

「分かった、降りて行くから」

 と言って歩いて行くとやはりダンジョンに潜って行くやつの列らしい。

 まぁ、装備はバスの中でしたのであとは問題ないだろう。

 待ってる間にステータスを見る。

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 時雨涼都シグレスズト 30歳

 レベル42

 スキル 剣術極 体術極 収納 鑑定 瞬歩 上級6大魔法 上級回復魔法 生活魔法 魔力循環 魔力強化 索敵 

 ユニーク 幸運 魔法の素質

 称号 第一討伐者

 SP 725

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 SPも索敵に使っただけだから減っていないし、レベルも42とまぁまぁいいんじゃないか?


 と索敵に前の奴らが反応している。

前の奴らが入って5分で俺たちが入ると、

「ヴェールカム!」

「死ね!」

 と振り下ろされるバットと剣を、俺とアルの剣が跳ね返しそいつらは丸腰になった!

「え!」

「こ、こいつらまじかよ!」

「ひえぇ!」

 と外に逃げて行く。

「この世界にもああ言う奴らがいるのだな」

「まぁ、どこの世界もこれは一緒だろ?」

「そうか」

 と何事もなかったように進んでいく。

 

 10階層毎にボス部屋を発見しなくてはいけないようで、回っていると、

「あ、宝箱だ」

「ん?…え、えぇ!金の宝箱!」

「ええ!嘘よ!そんなことないはず!」

「こんな低階層で?」

 と言うが誰がどう見たって金の宝箱だ。

 聞くと、木→銀→金と中身がグレードアップするらしい。

「まぁ、見つけたのは俺だから開けるぞ?前に立つなよ?」

「はい!」

 とみんなドキドキでこちらを見てるが、

「危ないから顔出すなって、開けるぞ?」

「はい!」

 みんなが顔を引っ込めてから開けるとスタタンッと毒針が正面に刺さる。

「あ、あんなの避けられないだろ!」

 あ、またこれか…

 みんなが入ってくるとマジックバッグとマジックリングだった中身はじゃんけん大会の賞品になってしまった。


「よっし!やったぜ!」

 勝者はククルだ。もうバッグを付けている。

「あとはマジックリングだが、持ってる人はやめとけよ?」

 とカオルやアルは辞退する。


 勝者はレイナだった。

「やった!これで剣が楽に抜けるね!」

 使っているのが長剣だから抜くのに苦労していたらしい。まぁ小柄だししょうがない。

「…なんか思った?」

「いや、べつに?」

 危ない危ない、顔には出してないはずだがな。

 10階層のボス部屋に入るとホブゴブリン十体だったのでみんなが倒している。

俺はドロップ拾いだな。

 そして宝箱で銀が出た。

 中身は身代わりのネックレスだった。

「これは収納ね」

 とミレイさんが言う。と言うかやっぱりミレイさんも来てたし。

「ですね、これは桐生院さんが持ってなきゃダメですね」

「はいはい」

 と収納に入れる。

「でもおかしいよね?ドロップも普通は魔石だけが多いし、宝箱なんか三回に一回出ればいい方なのに」

「幸運持ちじゃないとそうはいかないと思うが」

 え?幸運?ステータスを確認して。

「…はい、幸運持ってるわ」

「「「「「「「やっぱりね」」」」」」」

「おかしいと思ったんだ!」

「誰かが幸運待ってないとさ!」

「凄いね幸運持ちとか!」

 と言われてもあまり嬉しくはないな。


 10階層を降りると毒を使ってくる敵なんかもいてなかなかハードな戦いだな。

「アンチドーテ」

「助かる!」

「イックゾー!」

 とブラッドフロッグをカチ割りドロップに変えるククルや、カオル達も善戦している。

 十五階層からセーフティーゾーンがあり、そこで休憩や食事をする。

 どこまで潜るかによるが、取り敢えず倍の30階層まではいくことにして交代で寝る。

 流石にセーフティーゾーンだからってゆっくり寝てられないからな。


 総勢10人だから楽だと思ったがオーガが出て来たあたりからみんなが苦戦し始める。

「そら!よっと!」

「強いよ!スズトみたいに出来ないし!」

「まぁ慣れだよ、ここでレベル上げするんだろ?」

「うん!頑張る!」

 と全員でオーガを討伐して行く。

 

 疲れると十五階層のセーフティーゾーンに戻って疲れを癒す。

「くそ、まだオーガには敵わないのか!」

「SPがもうちょっとあればなぁ」

 とない物ねだりだな。


「うおりゃぁぁぁ!」

「とおっ!やあっ!」

 と動きが良くなって来たのは三日後からだ、レベルが上がったのだろう。

「よし!オーガも倒せるようになって来たな!」

 とアルは嬉しそうだな。


 他のみんなもオーガなら一対一で勝てるようになっている。


 先に進むと今度はトロールだ。再生持ちで一気に削り切らないといけないらしい。

「くっ!くそっ!」

「オラァ!サンダーショック」

 俺は倒して行くがみんなはついて来れていない。

「またレベル上げだな」

「敵が強いヨォ!」

「泣き言言わないの!」


 そろそろみんなも限界かな?

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