第10話 最深部


 千葉まで帰ってきた俺たちは、このことを桐生院さんに伝えて解散する。アル達は桐生院さんに任せておけばいいだろう。

 ようやく解放された俺は、家に帰り着くとクリーンをかけて家の中で寛ぐ。

 甘いコーヒーを淹れてソファーに座る、テレビをつけると日本は王国側との謁見をしたいとの事だが、ユーラシア大陸のロシア側にあるのでロシアが先ずはどう動くかだ、とりあえずは王国がどう動くか見ているようだな。

 アメリカ側にある帝国は少々難儀な位置だからどうなるかだ。

 聖教国はアフリカ大陸にあるらしくサハラ砂漠のど真ん中にあるようだが中の人は大丈夫なのか?

 とまぁ、俺が考えてもしょうがないから、テレビはこれくらいにして晩飯を食べて寝る。


 久しぶりに自分のベッドで寝ると、まぁ使い心地は悪いんだなと思ってしまう。最近贅沢していたからかな。

 とメールが来ているのに気づき開くと、

レイナ『パパが怪我したらしいの!スズト!助けて!』


スズト『すぐ行く!」

 返事を返し、俺は外に出て走る。走る方がいくらか早いからだ。

 レイナの家にすぐ着くと、チャイムを鳴らす。

「お願い!パパをたすけて!」

「はぁ、はぁ、分かった!とりあえず容体は?」

 2階に上がると何かわからないが鋭利な刃物で抉り取られたような傷が痛々しい。

「ヒール」

 ジュクジュクと泡が立ち傷が治っていく。

「パパ、良かった!」

「…oh、レイナ、その人は?」

「私の友達でスズトだよ、パパの怪我を治してくれたの!」

「あ、ありがとう」

「いえ、どういたしまして」

 とベッドで寝ている体制でお礼を言ってくる。

 

「少し話がしたいからレイナ、外れてくれるか?」

「分かった」

 と出ていくレイナ。

「まずは本当にありがとう、まさか回復魔法が使えるなんてな」

「たまたまですよ、それよりどうしたんですか?」

 わざわざ人払いをして、

「ここが鬼の森ということは知っているね?ここにはゴブリンキングより凶悪なオーガがいる」

 とベッドから起き上がり話す。

「は?オーガですか?」

「そう、ここからさらに南下した房総半島にそのオーガの巣がある」

「それじゃあ」

「あぁ、我々では手も足も出なかった…よければ手を貸してくれないか?」

「わかりました!」

「ありがとう、さすがレイナが見込んだだけあるね」

「へ?」

 大笑いをして立ち上がると2メートル超えてるな!そうだ。

「これ渡しときますよ」

 オークの革鎧だ。

「私には小さいな」

「パージ」

「ワォ、これなら着れるね」

 と言って革の鎧を着込むとフィットで感触を確かめている。

「これはいいものだがもらっても?」

「はい、差し上げますよ」

 とても嬉しそうにしているのでゴブリンソードも渡してあげた。

「こうしちゃいられない、まだみんなが戦っているんだ」

「はい!いきましょう!」

 2人で外に出ると心配そうにレイナとママさんが抱きついている。

「それでは行ってくる」

「いってらっしゃい!」

「スズトもちゃんと帰ってきてね!」

「おう!」


「ジョイ!I'm going now!今から行くぞ

teeth?お前 How's your injury?怪我はどうした

 何を言っているか聞き取れないが、

「乗れ!スズト!」

「おう!」

I'll fly it飛ばすぞ!!」


 車の中でジョイという軍人とパパさんが喋っているが、なんて言っているのかわからない。

 房総半島の中房まで進むと救護班らしき人がバタバタと走り回っている。

「スズト!行くぞ!」

「はい!」

 と2人車を降りて走り出す。

「おい!アンディー!そいつは誰だ!」

An ace up the sleeveとっておきだ!

 オーガが見えたが3メートルはある巨体でとりあえずはなんとか押し留めている様子だな!

「瞬歩」

「ワォ!スズト?」

 瞬歩でまずは一匹!二匹と斬って周り三匹四匹と首を狩っていく。

 ドロップは収納に入れているので取りこぼしはない。


「…強いなんてものじゃないな。まるで死神だ」

「言っただろ?とっておきだって!俺らもいくぞ」

「「「おおー」」」

 米軍が押しているが、倒しているのは俺だけだな!

 金棒を避けて斬る。その奥にいるオーガにサンダーショックを加えて斬る。

 どんどんいなくなるオーガだったが、奥の方から、

『ゴアァァァァ!!』

 と雄叫びが聞こえ一瞬硬直してしまい金棒の一撃をくらいコンクリートの残骸にぶち当たる。

 

 砂煙がたつ、俺の思考が戻ってきて痛みが遅れてくる。口の中に鉄の味がして、身体が引きちぎられそうな痛みが襲ってくる。

「ガハッ、はぁ、ヒール!」

 俺を吹き飛ばしたオーガがニヤリと笑う。


 イラつくな。


 瞬歩で目の前に飛び、首を狩り取る。ドロップを拾い声のした方を見ると、椅子に座ってこちらをみているオーガキングがいた。


 鎧を着たオーガに守られているようでまだ俺と戦う程ではないということか?


 舐めやがって!


「サンダーインパクト!」

 雷が落ちてオーガナイト達を焼き尽くす。

「来いよ!お前の番だ!」

 俺は肩に剣を乗せて挑発する。

『ゴアァァァァ!!』

 と立ち上がるオーガキングは8メートル程だろうか?俺が見た中で1番でかいな。

 っと、そんなこと考えてる暇はなかったな。

 オーガキングが剣を抜きこちらに突進してくるので俺も瞬歩で斬りに行くが、

“ガキギギギギギンッ!”

 っと剣は負けてないようだな!

 体術で背中側に回るが、すぐに体制を整え此方らに向き直す。


 剣に雷魔法を纏わせると、瞬歩で突っ込んで行く。

『ゴアァァァァ!』

 と雄叫びを出すが、

「効かねぇよ!」

 袈裟斬りにするとバリバリと雷が斬った後を焼いていく。

『グアァァァァァ!!』

 胸を抑えるオーガキングに後ろからロケットランチャーが飛んできて当たる。

 よろけたのを見逃すはずがなく首を跳ねてオーガキングを倒した。

 

「っしゃ!おらぁー!」

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