第8話 若すぎ


「おら!」

『プギャア』

 倒れるビッグボア。

 ドロップは肉と魔石とツノだった。

「ありがとう、若いの」

「いえ、どういたしまして」

 埼玉に入ってからはたまにこう言うことがある。

 猪が我が物顔で街を徘徊していると、情報が入るたびに俺が出される。

 カオル達は石を投げつけパワレベしてるし。

「今どの辺りだ?」

「ここら辺だがどうだ?」

「多分まだビックボアが出てくるから森の中だな」

 そうか、やはり群馬に行ってみるしか無いか。

「ミレイさん、やはり群馬に向かいましょう」

「はい、分かりました」

 群馬に入ると中心地へと向かう。

「ここら辺に村ができたとかは聞いたことないですか?」

 とお婆さんに聞くと、

「あぁ、村長にはあったよ」

「そうですか!どっちですか?」

「ここを右に真っ直ぐだ」

「ありがとうございます」

 と地元の人に聞いて行ってみると、やはり村があった。

 


「よう!ただいま!」

「アル!それにみんなも!よく帰ってきた!」

 と、アル達は人気者だな。

「みんなも元気そうだな!」

「そりゃこっちの人にもよくしてもらってるからね」

 こっちはこっちでなんとか仲良くやってるらしいな。

「ギルド登録していけよ」

 とアルが言うのでついでだ。

「そうだな、せっかくだしな」

 冒険者ギルドに入り、簡単な紙を書いて水晶を触るとレベルとランクが書いてあるカードが出てくる。不思議だな。

「レベル27でCランクです!」

「「「「おぉ!!」」」」

「それは言っていいのか?」

 守秘義務はどこに?

「す、すいません!つい」

「まぁ、いいか」

 知られても減るもんじゃないし。

「マジかよ!スズトは強いと思ったけどそれほどか」

「そんなに凄いのか?」

「Cランクは一流だな。俺らですらDだからな」

「そうなのか、てっきり低いのかと思ったぞ」

「冒険者の寿命は短いからな、一流になれない人間だっているさ」

「そうか、冒険者ってのも大変だな」

「そうさ、これでもちゃんと修行してスキルを取るんだぞ!」

 ん?修行?

「え?!」

「スズトもそうだろ?」

「アル、お前のステータスにSPってのついてないか?」

「ん?…なんだこれ?こんなのなかったぞ?」

「それ押してみろ」

「…な、なんだこれ!うそだろ!もしかしてこれで取れるのかよ!」

 今度はアルがリリやライアに教えてビックリしている。

 そしてみんな好きなスキルを上げて喜んでいた。

 

 村の中はやはり村って感じで田畑が少しあり建物が数十軒並んでいるくらいだな。


 その中でも煙を立てている武器屋に行く。

「親父さんいるか!」

 アルが大きな声で喋ると、

「おう!アル達か、ちゃんと帰ってきたな!」

 これぞドワーフと言わんばかりの小柄だが体格が良く髭を生やした親父さんだ。

「こいつはスズト、Cランク冒険者だ!剣を打って欲しい!」

「よろしくお願いします!」

 頭を下げると、

「おう!よろしくな!どれ、獲物は?ゴブリンのダガー?そんなの使ってるのか?で?どうするんだ?」

「出来れば剣を作って欲しいですね。他の剣もありますから」

「他の剣?」

 収納から剣を出すと、

「収納持ちか!それにこれはゴブリンキングの剣じゃねーか!…よし!お前にピッタリの剣を打ってやるよ!」

 と乗り気になってくれた。

「はい!」

 それから剣を降りながら剣の重さや重心などを決め、打ってくれることになった。


 次は防具屋だな。

「おばさん、こんにちわ」

「あら、アルちゃんよくきたわね!」

「あはは、こっちのスズトが防具が欲しいらしくてさ」

「へぇ、いい男じゃないか!」

「あはは、スズトです、よろしく」

 ここでは試着をしながらどれがベストか決めていく感じだった。

 ウェアウルフの黒い鎧に剣帯、グリーブにブーツと黒が多いがスーツの上からでも違和感ないな。

「じゃあ、お代は十八万円でいいよ」

「おっ!日本円でいいんですか!助かります」

 と料金を支払うと、

「こっちで物を買うのに必要でしょ?しかも欲しいものだらけなんだもの」

「あはは、それはわかるよ!」

 とアルが言うと井戸端会議が始まるが、カオル達もこっちに来たので俺たちは退散する。


 アルと2人で酒場に行き、途中で狩ったビッグボアの肉を調理してもらう。

 香辛料はこっちの世界のを使っているらしくとても美味しい!

「あー!ズルいぞ!」

 とククルが割り込んできて肉に齧り付く。

「う、うまぁー」

「あはは、みんなもこっちで食べようか」

 とミレイさんも合流してみんなで飯を食うと、何故かみんなが近いな。

「どうしたんだ?」

「スズトっていくつ?」

「30だが?」

「嘘だ!まだ21、2でしょ?」

「本当だよ、まぁ童顔なのはしょうがないけど」

 みんなからしたら30になってしまったおじさんだ。

「な、なら私なんてどう?」

「わたしは?」

 急にモテ期が来てしまったようだな。

「なぜ?」

「Cランクで優しくてって優良物件でしかないじゃない!」

「買い被りすぎだよ、みんな若くて綺麗なんだからもっといい人いるって」

 シーンとなってみんな顔を赤くしている。

「ほ、ほら、みんな食べよう!」

 ガッツいて見せるとみんな食べ始める。


 流石にみんな若すぎだろ?ミレイさんも含めてね。

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