第6話 パーティー


 アルは金色の髪を靡かせた線の細いイケメンで赤い鎧を着ている。

 剣を持っていることから剣士だろう。

 ライアは銀髪を後ろで束ねている、黒いローブの様なものを着ているので魔法使いか?

 二人とも二十代か?

「俺はアルだ」

「スズトだ」

「スズト、ありがとう、ここは鬼の森の深部で間違いないんだよな?」

「その認識で合っているが、惑星が同化したらしい。こちらの世界では街だ」

 リリが説明している。


 リリ達は五人パーティーだったらしくあと二人を探さなきゃならないな。

 ようやく男も来たので少し楽になったな。

 次も音のする方へ行く、車は店員オーバーなので俺たちは走って行くと、

「ネア!ククル!」

「遅い!早く来て!」

 瞬歩で近くまでいきサンダーショックを加えるとアルが剣でトドメを刺す。

「よし!ナイスだアル!」

「スズトがアシストしてくれたからね!」

 とグータッチする。

 ネアという女は濃い紫の髪で大人のお姉さんって雰囲気だが、白いローブを来ていて杖を持っているから回復系かな?

 ククルはオレンジの髪でショートカットの元気っ子って感じで小柄なのにハンマーを持っている。

「っかれた!ゴブリンナイトはキツイって!」

「しょうがないでしょ!エンカウントしたんだから!」

 と二人で言い争っている。


 これで無事5人揃ったみたいだな、ってハーレムかよ!

 ったく、男率が低すぎるな。

「スズトー!また私一撃も当てられなかった」

「仕方ないだろ?」

「私は当てた!レベルが上がった!」

「私も当てましたわよ?レイナが遅いのでは?」

「だって!車の奥にいたから出るのが遅いの!」

 と涙目だが、倒しているのは俺だ。

「それは、仕方ないなー」

「はぁ、まぁ、次があるさ」

「まだやるのか?」

 流石にキツイぞ?

「いえ、もう夜ですし帰りましょう」

 とミレイさんが言う。

「ここからなら俺は歩いて帰るよ」

「車はどうしますか?」

「あぁ、そうだったな、取りに行くか」

「私達はどうする?」

「リリやアルも来いよ、カオルのとこなら泊まれるだろ?」

 あんだけでかい屋敷だ。

「はい!いいですよ」

「よし!ちゃんとしたとこで寝られる!」

 とククルは嬉しそうだ。

「走るぞ」

「「「「「おお!」」」」」

 5人ともそれなりに速い様だから車についていく。

 今日は俺が一番動いてる様な気がするのは気のせいか?

「はぁ、はぁ、はぁー」

「スズトは疲れてるね」

「まぁな」

 とアルと喋りながら桐生院家の門を潜る。

 報酬や契約は明日にしてもらい、車に乗って帰る。


 ようやく家に着き、収納に入るかな?と車を収納してみると入るな!

 とりあえず、2階の自分の部屋に入ってコンビニで弁当を買っていたのを置いて、部屋をサッサと片付ける。シャワー浴びてからビール片手にテレビをつける。


 陸地になり避難民がこちらに来る様子や、見たことない化け物の様子などが映し出され、中でも王都と思われる建物が映し出されているのが印象的だった。

 古そうだが城壁があり、中に街がある。ミニチュアを見ているようだ。

「すげぇな」

 思わず声が出てしまうほどにでかい王都にびっくりしてしまう。

 アメリカの映像でもバミューダ諸島が大陸になっておりそこに帝都と思われる建物ができていて広い領土が街になっている。

「おいおい、どうなんだよ」

 この調子じゃ聖教国っていうのもアフリカ大陸ら辺にあるんだろ?王国も帝国もなんとか街ごとこっちに同化されたみたいだけど急に人が家の中にいるなんてこともあるだろうな。


 その後も畑が森になっていたり、家と家がくっついている画像が流れて、なかなかカオスな世界になっているな。


(はぁ、頭がこんがらがるな…それにステータスも俺だけなんでこんなに強いんだ?)

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 時雨涼都シグレスズト 30歳

 レベル25

 スキル 剣術極 体術極 収納 鑑定 瞬歩 上級6大魔法 上級回復魔法 生活魔法 魔力循環 魔力強化

 ユニーク 幸運 魔法の素質

 称号 第一討伐者

 SP 515

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 SPもまた増えてるし、第一討伐者が何かあるのか?

 弁当を食いながら収納に入れたものを整理していると素早さの腕輪と力の指輪があったからはめておく。


 と言うか変わりすぎてとりあえず収納の整理なんか始めたけど色々考えなければいけないな。


 このまま桐生院の社員になるのもなんだか上手く使われそうだしな。

 かと言っていい話には違いないんだが、あっちの世界の冒険者でもいいかもな、アル達だってそうだろうしな。


 上手く混同できればいいが、戦争なんてなったら大変だぞ?

日本はいいが中国あたりが王国を毛嫌いしそうな気がするなぁ。

 魔法対核兵器なんか見たくもないな。


 と色々考えてると疲れからか眠くなって気づいたら朝になっていた。

「朝か…辛い…」

 何が辛いって考えが全くまとまってない。


「さて」

 コーヒーを飲んで少しホッとする。

 いつもの朝だな。

 カーテンを開けると、少し現実に戻される何もなかったところには木が生えているし、ゴブリンに壊されたんだろう窓が割られている。

 とりあえずスーツに着替え、パンを齧って外に出る。隣近所とは希薄だがいつも掃除しているお婆さんがいないな。

 はぁ、こんなことで落ち込んでる暇はないんだな。

『グギャ』

 っとにもう!

 直ぐにダガーを構えて斬り殺すとドロップを残して消えた。収納に入れるのも慣れたもんだな。


 車を収納から出すと、近くのコンビニまで行き、缶コーヒーを買う。新聞も一応買っておくか。

 直ぐには走り出さずに新聞を読みながらコーヒーを飲む。

 別段昨日と変わったところはない様だな。


 世界は変わったままだ。

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