第5話 黒耳族


「ここを任されたま亜麻仁アマニ2曹だ。これはどう言うことか」

 と自衛隊の服を着た女の人がやってくる。

「はぁ、大きな化け物を討伐したんですよ」

「それは分かってる。どうやってだ!」

「魔法です」

 としか答えようがない。

「魔法か…そこの耳の長いのは?」

「私の友人です」

「分かった、ここはもう脅威がなくなったからな。君の名前は?」

「時雨涼都です」

「覚えておこう!」

 と言って2曹は指示をして自衛隊は撤退していった。


 ようやく静かになったと思った。

「君は特殊なようだな」

「そうでもないですよ?ブラック企業のサラリーマンです」

 俺は割れた瓦礫に腰を下ろして収納から缶コーヒーを出して飲む。

「それでは終わったら家に来てくれるか?」

「はぁ、わかりました」

 桐生院は帰って行った。

 とりあえずはボスを倒したのだからあとは有象無象だろう?

「あれだけのゴブリンキングだ、ゴブリンナイトやウォーリアなんかもいると思う」

 リリの言葉だ、下みたいだが強いのか?

「並のヒューマンだと殺されるだろうな」

「はぁ、俺はそれなりに疲れたんだぞ?」

「私は行く、仲間が戦ってるかもしれないから!」

「わーったよ!いけばいいんだろ」

 俺の安月給で買ったSUV車はまだローンが残ってるからあまり乱暴に扱いたくないが、今更だな。


 近くの公園でゴブリンウォーリアを見つけると瞬歩で斬り殺す。

「スズト、大丈夫か?」

「何とかな…それにしても多いな」

「ゴブリンの巣だからな、しかも散らばっているから余計な手間がかかる」

「そうか」

 まぁ、集団で来られるよりマシか。


 なんとか街を周り桐生院の家に着いたのは夕方になってからだった。

「よく無事に戻ってきた」

「まぁ、疲れましたがね」

「そうか、君は今日からウチの社員だ、その辺はミレイ」

「はい!まとめてありますので、後で契約を」

「はぁ」

 俺はもうクタクタなのだが。

「疲れている様だし休んでくれ」

「ありがとうございます」

 できる男は違うな。


「そちらは?」

「黒耳族のリリです」

「そうか、少し話を聞きたいがいいか?」

「分かりました」

 とさっき俺とした様な話をし、この街は鬼の森の深部だったと聞かされる。

 リリの持っていた地図をみると森の広さは名古屋辺りからこちらの千葉県の方まで来て青森あたりまである。

 まぁ、ちょうど深部だから浅部はゴブリンが少しとウルフ系やボア系がほとんどらしい。

 この街は『当たり』だったようだな。

 パンゲアと地球は似ていて、違うのは惑星の50%を誇る大陸にある様だ。

 同化したと言うかパンゲアの上に地球が重なったの方が正しいのかもしれないな。


 森の中と言っても街自体は変わらないし、木なんかは見当たらないからな。

 それか切り拓いていて木がないところに俺らはいるかだが、建物自体も何かと合体したようなものがない。


 だから同化した時に消えたのだと思うがこの街だけではわからないな。

 竜の巣という場所もあるそうで新しくできた大地になるようだ。

 そして王国や帝国などもあり地図で確認すると、この場所は王国の国土らしいが王国は広大でユーラシア大陸側が王国、アメリカ側が帝国、アフリカ側に聖教国があるらしい。

 そこが今どうなっているか定かではない。


 とりあえず日本は王国側で辺境だ、とにかくどう言う縮図かわからないが当てはめてみる。関西の方に大きな街と北海道の方に辺境伯領があるらしいがどうなっているのか?


 そして九州あたりにダンジョンがあるらしいのでそこがどうなっているかも今はまだ情報がないな。


 桐生院は情報をまとめると次の行動に移る。まずは情報が本当かを確認するために衛星画像から調べるそうだ、また、これだけの被害と森と言われていた場所だから安全の確保だ。これはゴブリンキングを倒したからといって安心していてはいけない事だな。


 俺はリリの手伝い、と、わがままお嬢さんたちのお守りをしないといけなくなりそうだ。

「スズト!行こうよ!」

「待てよ、俺も疲れてるんだ…」

「それはそうだけど、今やらないと後悔するよ!」

「はぁ、しょうがない、行けばいいんだろ」

「車はこちらのを使います、少しですが食べ物も入っております」

「あぁ、ありがとう。朝から食ってないから腹が減った」

 と車に乗り込むと飯を食う、リリも一緒で朝から食っていない。

「こ、こちらの食い物は美味しいな」

「いいから食っとけよ、流石に俺も疲れがピークだ」


 音のする方に進むと、

「ゴブリンナイトです!」

「分かった!行くぞリリ!」

「あぁ!」

 と、誰か戦ってるな。

「アル!」

「あ!リリ!助けて!」

「分かった!ッシ!」

 弓で援護するリリ、俺は瞬歩で近づきサンダーショックを使う。

『ゴギャギャギャ』

 剣で首を刎ねて終わりだ。

「あ!もう倒したの!」

「私はなんとか当てられた」

 石を当ててるようだな。

「パワーレベリングなんだからもうちょい待ってよ!」

「待てるか!こっちは必死だ!」

 そんな器用なことできるかよ!

「スズトのケチンボ!」

「うるせ」


「アル!ライア!」

 リリが近づくがアルと言う男が倒れている。

「リリ!アルが!」

「スズト!頼む」

「分かった、ヒール」

 アルと呼ばれた男の傷が治っていく。

「た、すかった、礼を言う」

「気にするな」

 とアルと言う男に手を貸す。

 

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