十字路



深夜、友達と遊んだ帰りに車を運転していたときのことだ。

当時私は東北の田舎町に住んでおり、友達の家からの帰り道は田圃の中を通るルートが一番近かった。

もちろん、街灯などない。

遠くに見える等間隔に並んだ電柱についた防犯灯が星のように見える。

碁盤の目のように張り巡らされた道を、車のヘッドライトを頼りに直線に走る。

夜道は心細くはあったが、怖くはなかった。

小さい頃から親の車で通っていた道だ。


田圃道を突き当たった丁字路を左に曲がると、もうすぐ我が家だ。

そろそろ曲がる頃か、と思っていたら、向こうにまだ道が見える。

曲がる場所を間違えたかと思い、そのまま直進しようとしたが、違和感を感じブレーキをかける。

周りの景色をちらと見ると、やはりここはいつもの丁字路のはずだ。

丁字路が十字路になっている。

道の先はヘッドライトをハイビームにしても見ることは出来ず、漆黒が広がっていた。


鳥肌が立つのを感じ、急いで左折し、家に帰った。


そのまま直進していたらどこに行っていたのだろうか。

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