M県S市のある地域には、住んだ者を呪う家があるという。


最初の住人は20代の若い夫婦だった。

越してきた頃、奥さんの方はお腹が大きかったが、いつの間にかお腹が凹んでいたらしい。

気になった近所の人が聞いてみたところ、「ダイエットをしたんです」と誤魔化した。

その数年後、その夫婦は無理心中をした。

空き家となったその家は、中古の物件として売りに出された。


次の住人は定年後に移住してきた老夫婦だった。

近所の人は越してくることを止めたのだが、老夫婦は言うことを聞かなかったのだという。

程なくして、その老夫婦は越していった。

「幽霊が出る」と言っていたらしい。

その後の彼らの行方は知れない。


次の住人は若い夫婦だった。

その夫婦は立て続けに病を患い死んだのだという。


次の住人も、その次の住人も、すぐ出ていくか、死んでいった。

不思議なことにそんなことがあっても、越してくる人は途絶えなかったのだという。


今でもその家は残っている。

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