物置の目隠し

中学校の放送室にまつわる怪談がある。


私が通っていた中学校の放送室は、校舎の2階、職員室の隣にある。

放送室の奥にはもう1つドアがあり、放送部の物置になっている。

放送室と物置を隔てる壁には、互いの部屋を覗くことが出来るガラス窓があるのだが、このガラス窓には、アニメやグラビアのポスターが貼られており、今やガラス窓としての用をなしていない。


ある年、新任の先生が放送部の顧問になり、そのポスターを剥がそうとしたことがあるらしい。

放送部の部員も、なぜそのポスターが貼られているのか特に気に留めたことがなく、二つ返事で了承した。


その翌日、昼の放送の担当となった生徒が放送をしていた最中、急に高音のノイズが入った。

生徒の叫び声だった。

すぐに放送室に職員が向かったが、野次馬の生徒も集まり、廊下は騒然としていた。

放送室の前には、震えてうずくまっている女子生徒がいた。


ポスターが貼ってあったガラス窓に、女の子の足が見えたのだという。

膝から下がぶらりと吊り下がり、まるで首を吊っているかのようだったらしい。


「あそこは塞がないと見えるんだよ」

先生がそう言っているのが聞こえた。

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