第14話 激甘な…

 翌朝、ミラジェーンは体の異変を感じ目が覚める。

目は開いているが頭はボーっとしている…、なんとか起き上がろうとする。


(痛っ…!え⁈…ハダカ!!)


 慌てふためきながら着る物を探す、見つけたのはベッドの中でスヤスヤと寝ているカイル…。ブランケットから半身が出ているので鍛えられている胸板が見える、天使の様な優しく美しい顔なのにこの体…。


(なんて綺麗な寝顔…って!カイルもハダカ⁈キャーッ!!!!!)


 急に昨夜の事を思い出す、思わずベッドの中に潜り込む、パニックだ。

カイルも起きてベッドの中にいるミラジェーンに気付きブランケットをめくる。


「おはよう、ミラ…かくれんぼ?」

「…お、おはよう…ございます…。」


 顔を隠して丸くなっているミラジェーンは何とか体に何かを巻き付けようともぞもぞしている。そんなミラジェーンが可愛くてカイルは後ろから抱きつく。


「ぅ…うぅ…ちょ…やめ…。」

「ミラ、大好きだよ…愛してる。こんなに幸せな朝があるなんて…はぁ~」


カイルは頭や肩にチュッチュッとキスしている、半分寝ぼけてまだ夢の中なのだ。


「く…すぐったい…です…、や…やめてください…」

「んん…みら…もっと欲しい…」

「…ちょ…や……やめてください!旦那様!!!」


 強い口調の声にやっとカイルは目が覚める。

ミラジェーンは昨日からカイルのペースに乗せられてから手も足も出なかったがここでようやく声が出た。


「…ごめん。嬉しくって…我を忘れた…。ミラ、怒った?」


ミラジェーンは今カイルの怒られた子犬の様な表情に胸がキュンとなっていた。


(こんな表情…こんなの怒れるわけないじゃない…ズルい。)

「…怒ってはいません…ただ…恥ずかしくて…」


――コンコン…

キャーッ!!誰か来た!あ、うそ⁈もうこんな時間!!

うろたえるミラジェーンの横でカイルが落ち着いて声で外にいる者に言う。


「もう少し後にしてくれ。」

「え⁈…旦那様?は、はい…かしこまりました。」


『キャーーーーー!!!』

という押し殺せていない声がドアの外で響いているのが分かる、毎朝ミラジェーンの部屋に一番に来るメイドはすでに屋敷中にこの出来事を言い始めているに違いない。


「…やれやれ…。もうちょっとこうしていたかったのに…ミラ、ちょっと待ってて。」


カイルはしぶしぶ服を着て、ブランケットから少し出ているミラジェーンの頭にキスをして部屋から出て行った。


(あーーー!…もう!こんなの恥ずかしすぎる!)

ミラジェーンはベッドの中で叫ぶ、こんな朝はどうしたらいいのか分からない、着ていた寝間着もどこにあるか分からないし、メイド達にどう接したら???

などど悶々と考えているとメイド達が部屋に入って来た。


「…おはようございます、奥様。朝のお仕度を…」

「…おはよう…、宜しく…?」




 支度を終えメイド達の生暖かい視線…痛みで動きがぎこちないミラジェーンを気遣う態度がこの上なく恥ずかしい。


「旦那様に朝食はこちらで一緒にと申しつかっておりますので、少々お待ちください。」

「え⁈そうなの?…分かったわ。」


 一緒に?朝食を?緊張する…待つ時間がフワフワと流れる感じ…これは?なんというのかしら?良く分からないけどなんだか心地良い…。

しばらくすると朝食が運ばれてきた、着替えをしたカイルもやって来た。

初夜の次の日の様に制服だ、でも今日はあの時のような冷たさがない。


「ミラ、気分はどう?」

「…はい、大丈夫…です。旦那様はお仕事へ?」

「あ、ああ…仕事なんて休んでも良いんだけど…このままミラといては…その…また…いや、何でもない。」


カイルは顔を赤らめ何やらゴニョゴニョとしている、


「ミラ、旦那様なんて呼ばないで、昨日みたくカイルって呼んでくれないか?」

「…はぁ、…カ…カイル?」


今度はミラジェーンが顔を赤くしてゴニョゴニョとしている。


「フフッ…、そんな風に呼ばれたらここから出たくなくなるな…。もう少しゆっくりするかな。」


カイルの優しい笑顔が今は嫌ではない…、こんな穏やかな気持ちになるのは初めてだ。心の中であれやこれやと考えなくても良いのだ、カイルは新しい感情を次々とくれる。


――キュン





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