足
@ku-ro-usagi
ショートショート
仕事したくて1人でファミレス行ったら
「空いているのでどうぞー」
と一人席ではなくて4人席に案内してもらえた
デブにはありがたい配慮
ドリンクバーを頼んで
少しスマホ弄ってから仕事してたんだけど
ドリンクバーから持ってきていたスティックシュガーを
テーブル下に落としちゃってさ
拾わなくてはと
我ながら腹の肉が邪魔だなと思いつつ屈んでテーブル下を覗いたら
向かいの席になぜか足が2本ずつあった
「おや?」
と思い
身体を起こしても、4人掛けテーブルには勿論僕1人
目を瞬かせてから
もう一度テーブル下を見ると
向かって右はスーツのスラックスと革靴で男性っぽい
左のもう1人は
膝丈スカートにローヒールの黒のパンプスで女性っぽかった
よく見ると腰まではあった
そして拾い損ねたスティックシュガーは
ローヒールの女性の足にしっかり踏まれていた
うん
きっと
後で店員さんが拾ってくれるだろうと内心で謝りながら
僕は自力で拾うのは諦めた
仕事を再開してすっかり冷めた無糖の珈琲を啜りながら
なにも知らない気づかないふりをして
カップを空にして席を立つのにそれでも30分かかった
だって
下半身しかない足たちが
靴先や爪先で僕の足をつついたりなぞったりしてくるんだよ
はは、どんなお誘いかな?
怖いよ
うん
とても怖かった
それからは
ファミレスではどんなに空いていても
少し窮屈な一人席をお願いしている
足 @ku-ro-usagi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます