こんな朝の出来事を送るなんて

「はい。旬くん。今日のお弁当だよ」マロンが、俺の前に

 手作り弁当を置いた。あれ以来。マロンが、毎日

 俺の弁当を作りだした。よほど、俺の弁当の反応が

 嬉しかったのか知らないが。それ以来、マロンの

 機嫌がいい。「いつも、ありがとうな」礼を言う。

 俺に、マロンがニコッと口角を上げ。俺に微笑む。

「旬くんの為なら。このくらい朝飯前だよ。本当に

 朝飯前だけどねぇ」朝食前に、マロンが作った。

 弁当を渡され微笑む。マロンを見えるなんて

 なんていい日なんだ~。朝から、心の栄養を蓄える。

 俺は、ルンルン気分でマロンが作った。弁当を

 鞄につめる。すると、二階から。眠たげな瞳で

 大きな欠伸をしながら降りてきた。ふゆが眠たげに

 言葉を吐く。「おはよう。二人共。起きるの早くない?」

 ふゆの眠たげな目を向けながら。俺とマロンを見つめる。

 「お前が、起きるのが遅いんだよ。おはよ。ふゆ」

 「ふゆちゃん。おっはー。はい、これふゆちゃんの分」

  マロンが、ふゆに手作り弁当を渡す。俺にだけ作るのと

  二人怪しまれるからと。ついでに二人の分も作る事になった

  みたいだ。(怪しまれるって何を?」「ありがとう」

  ふゆがマロンに礼を言い。そのままダイニングテーブルの椅子に

  腰を下ろす。「ほら、ふゆも早く朝ご飯食べて。学校に

  行くぞ」「うん」と短い返事で返す。ふゆの口元を見つめる。

  俺は、あの事を思い出していた。それは、ふゆに不意にキスを

  された。あの時の夜の出来事である。「何?」ふゆが俺の

  視線に気づき。俺はふゆに視線を外し。「いや、何でもないぞ」

  と誤魔化す。「ふ~ん~」とふゆが、俺の所に近づき。

  俺の耳元で「あの日の事を思い出しているの?」と囁く。

  俺はおもわず。ふゆの顔をみる。するとふゆは、優しく微笑み。

  自分の口をペロッと舐めた。その動作にドキッとした。

  こんな朝を迎えるなんて。こいつらが犬だった頃が懐かしいなぁー。

  俺とふゆを睨むように見つめる。マロンは、俺とふゆに近づき。

  「二人って、そんなに仲がよかったけ?」と俺とふゆに言葉を

   かけた。やばい。朝から、修羅場になるんじゃないかと

   内心ヒヤヒヤする。そんな朝を過ごす日が来るなんて。

   俺は、味噌汁を啜り。何事もなかったように。鞄を肩にかけ。

   椅子から腰を上げる。「そろそろ。行くから」と

   マロンとふゆに声をかける。「「はーい」」と二人が

   返事をして。朝から修羅場にならずに済んだ。

   最近の愛犬たちが、俺への愛情を向ける速度が

   早いと感じる。今日の朝の出来事である。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る