マロンのお弁当

「はい。これ、旬くんのお弁当だよ」ふと、俺の前に

手作り弁当を置く。マロンの満面な笑顔が、俺の心の

中で稲妻が走った。一体、なぜマロンが唐突に俺の弁当を

作ったのかと言うと。それは、昨日の家庭科部のある

会話での出来事がきっかけだと推測している。

昨日の家庭科部での事だ。それは、部長の如月宵きさらぎよい

一言が始まりだ。「ねぇ、ねぇ、マロンちゃんはお兄さんの為に

お弁当を作った事がある?」如月先輩の何気ない。質問を

マロンは不機嫌そうに、答える。「いいえ。作った事が

ありません」と不機嫌に答える。それを聞いた。如月先輩の

眼鏡のレンズが光だす。「じゃあ、今度作ってみない・・・・・・」

「作る?」「そう、お兄さんの為に真心こめて。愛情を込めた。

手作り弁当を」如月先輩の言葉に、マロンがビックと体を震わせる。

あの小さな体に強い電撃が流れ。不機嫌だった。表情が、一気に

明るくなった。「わかりました。私作ります。旬おにの為に

愛情を込めた。手作り弁当を作ります」意を決して。

俺の為に、手作り弁当を作る宣伝をするのを。俺は

後ろで苦笑した。そんなやりとりがあって。家に帰るや

台所に学校帰りに寄った。スーパーの袋を置き。

エプロンを着け。手を洗い。俺の為に弁当を作りだした。

(いや、明日の弁当を。今作るのかよ・・・・・・)

心の中でツッコミを入れ。俺は、ソファーに腰を

下ろす。スマホをいじりながら、台所のマロンを

横目で見る。すると、その光景が俺にはあまりにも

衝撃だった。卵を素早くかき混ぜ。熱したフライパンで

溶かした卵を注ぎ。見事にクルと卵を巻く。

「なぜだ・・・・・・」なぜ、マロンはあんなに

華麗

に料理を作れるんだ?俺の中で、今の光景が

夢ではないかと思い込むほどの美しさに困惑している。

「お前・・・・・・。なんで、そんなに手際よく

 料理をしているんだ?」あまりにもな出来事に

思わず。聞いてしまった。すると、マロンが

真剣な眼差しで嬉しそうに答えた。

「私、犬だった頃。毎日、旬ママの作っている所

 見てたから」俺は、マロンがそんな事を聞き。

 その事を思い返す。「そう言えば・・・・・・」

 たしかに、トイプードルのマロンは、よく

 母親が台所に立つと。台所近くに来ていた。

 普段は、俺の所から離れない。マロンが、母が

 料理を作る時は。俺の所から、離れ。母が立つ。

 台所に行っていた。俺は最初は母から、何か

 食べ物を貰えると思っていたが。でも、母が

 マロンに何かを与えている所は確認していない。

 あれは、母が料理を作る所を見ていたという事

 なのか。利点がいき。謎の納得をする。

 俺だった。翌朝、マロンが俺の前にお弁当箱を置き。

 「はい。これ旬くんのお弁当だよ」と微笑む。

 「あ、りがとう」とぎこちない。ありがとうを言い。

  その日のお昼。マロンの作った。お弁当箱のふたを

  開ける。中身は、とてもキラキラしていた。

  そぼろと卵のスクランブルエッグが上にのった。

  そぼろご飯と程よい焼き加減のウィンナーが二本。

  卵焼きにほうれん草の胡麻和えとなかなか凝った。

  弁当の中身だ。見た目は悪くはない。だが、問題は

  味である。まぁ、どうせ味は大した事はないと思うけどさぁ。

  初めての手作り弁当は大体失敗するのがオチである。(個人の意見です)

  俺が一口。そぼろのご飯を食べる。すると「う、うまい」

  マロンが作った。手作り弁当は、とても美味しかったです。

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