第23話 連携、そして戦闘
「……な、なんて大きさだ!」
「これは……さすがに時間が掛かるかも」
俺とリーズは、そっとブルードラゴンに近づき寝ている間に攻撃しようとした――だが気配を感じたのか、ブルードラゴンは飛び起き、翼を広げ威嚇してきたのだ。
俺はすぐさまブルードラゴンの背後に回り込み首を狙って飛躍し斬りつけるが……鱗が硬すぎて刃が通らない。
なぜ、首まで鱗が……まさか特殊個体か!?
「こいつ……」
その時、ブルードラゴンの尾が俺の方に勢いよく向かってくる――もう避けようにも間に合わない。目を瞑るとリーズが俺の前に立ちはだかり、刀で尾を受け流し、一瞬で斬り落とした。
リーズはそのまま跳躍し、首を斬り落とそうと刀を振るう。が、しかしブルードラゴンは燃え盛る火を口から吐いた。
攻撃することさえさえ許してはくれないのだ。
うわー、あれ当たったらマジでやばい。
火が直撃した岩はドロドロに溶け液状化している。少し距離を置いても伝わってくるこの熱気。
ブルードラゴンがリーズに気を取られているうちに、俺は《
そして背後へと回り込んだのだ。
〈
スキルの効果もあってか攻撃がリーズに集中している。だがそこに関しては一切心配はしていない。
ブルードラゴンの爪での攻撃や噛みつく攻撃などいともたやすく刀一つで受け流しているからだ。
そして背後に回り込んだ俺は尾の断面に短剣を勢いよく突き刺した。
その瞬間、ブルードラゴンは痛々しそうに悲鳴を上げる。
「リーズ! 今がチャンスだ!」
そんな俺の声を聞いたリーズは刀を上段に構えた。
「やっと隙ができたわ、リヒトありがとう! 〈
この空間一帯に突風が巻き起こる。
さっきまではブルードラゴンと相対していたはずのリーズが瞬く間に背後を取った。そして刀を鞘に収めた途端にブルードラゴンの首が地面に落ちたのだ。
しかも首からは血が一切噴き出てこない。
まるで身体は斬られたことにすら気づいていないかのように……。
リーズはそのままブルードラゴンの身体をバラバラにしたのち、心臓を取り出した。
鞄に心臓を入れると、何も言わずに出口に向かって歩き出したのだ。
リーズの鎧に一滴も血が付着していないことに俺は驚きを隠せない。その時、ブルードラゴンの身体の幾度も切られたであろう傷が現れ、真っ赤な血が噴水のように吹き出した。
「リーズ待てって! なんで先に行くんだよ!?」
「リヒト……悪いけど離れて歩いてくれる」
「……何で?」
「だって……私……戦いで汗臭いんだもん」
どうやらリーズは自分が臭うと思っているのか、俺が側にきて欲しくないみたいだった。
そりゃ戦いのあとだから汗を掻くのは当然だと思う。事実、俺も汗をかいて決していい匂いとは言えない。むしろ臭い部類だろう。
でも女心は難しいな……。
頑張って理解しようと試みてはいるが――やっぱり難しい。
「それなら近くに水場があったから、そこで洗い流してみるのはどうだ?」
「うん……そうする」
「じゃあ、俺は先に洞窟に戻ってるぞ」
リーズは近くにある水場まで走って行った。
一人になった俺は先に洞窟まで戻ることにした。
*
しかし洞窟の前で長時間待機しているが、なかなか帰ってこない。
待ち続けてどれくらいの時間が経っただろうか?
陽が沈み、辺りも暗くなってきた。
俺は近くに落ちている小枝を集めては火を着けた。そしてその焚き火の近くに座り込みリーズを待ち続けた。が、そろそろ我慢の限界だ!!
もちろん一人になる不安もある。
それにリーズに何かあったかと思うとさらに不安になる。強いといっても俺の妹みたいなものだ。もしかしたらリーズの身に何かあったのかもしれない。
俺は立ち上がり探しに行こうとした、その時、近くの茂みから草木が揺れる音がした。
「またアンデッドか?」
俺は短剣を構え、戦闘体勢を取った。
だが、そこに姿を現したのはリーズだった。
その手には黄金色に輝く綺麗な花が握られている。
「これは
「そうよ、戻るのが遅くなったわ。リヒト心配してたの?」
「心配なんてするわけないだろ」
口には出さなかったが、正直ものすごく心配した。
「でもリーズのおかげですべての素材が揃った。ありがとう!」
「気にしなくていいわよ、これは私が好きでやってることだから……」
「お、おう」
俺とリーズは荷物を持ち儀式を行うため再び洞窟の奥へと向かったのだ。
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