第6話ー勇気出してinバレンタインデー

  2024年2月に、節分があった後、キヨテルは、急に、職場で「新聞部を作る」と言った。

 そして、2024年1月の終わりから、会社の上司になって、「オレは、新聞部の部長になる」と言った。

 それで、職場の上司に頼んで、新聞部を立ち上げたのだが、やはり、大変なものがあった。

 …

 キヨテルは、本当は、学生時代、自分で「~したい」などと言えなかった。いや、本当は、そんな同級生を「バカだなぁ」と言いながら、本当は、できなくて燻っていた。

 いや、キヨテルは、もう40代になっている。

 だが、40代になったキヨテルは、本当は、例えば、学生時代、「バンドをしたい」とか言っている同級生を、「あいつらは、女子の受け狙いでバンドをしている」と決めつけては、馬鹿にしていたが、本当は、自分だって、バンドをしたかったに違いなかった。

 それでも、例えば、キヨテルだって、ミスターチルドレンとかいきものがかりの音楽を聴き、自伝を読んで、「ああ、オレは、何もしない人生だった」と悔やんでいた。そう気がついたのは、30代後半になってからだった。

 キヨテルは、自分の同級生が、東京を離れ、関西に移住をしたのが、いた。 

 そして、滋賀県長浜市で、小さいながら出版社を経営しているのが、いた。それで、新聞のコラムの片隅に、彼の名前を見つけた時、キヨテルは、彼を馬鹿にしていたが、それこそ、彼は、自己実現をしていると思った。

 …

 キヨテルは、アヤカに言った。

「オレ、新聞部を作ったんだ」

「へぇ、すごいなぁ」

 とアヤカは、感心していた。

 2024年2月だった。

 まだ、寒い時期だった。

 それで、キヨテルは、部長になって、新聞部の部員を募集したのだが、このスマホの流行っている時代に

「なんで、今更、壁新聞なんだ?」

「いや、青春を取り戻したくて」

 と職場で言ったが、無駄だった。

「それなら、Facebookとかツィッターで、新聞を作ったらどうですか?」

 と言われた。

 特に、20代の社員は、冷ややかな感じがしていた。

 …

 それでも、新聞を作ってみたが、結果的に、「旬の食材」しか書くことができなかった。

 そうだ、と思った。

 新聞を作ってみても、せいぜい、「2月の旬の食材、鍋」しか思い浮かばない有様だった。

 だが、アヤカも、一緒に、新聞を作ってくれた。

 そして、職場の壁に張ったが、あまりみられることはなかった。

 しかし、2024年2月14日、バレンタインデーの日に、キヨテルとアヤカは、壁新聞を、会社の壁に貼り、その日の夕方、アヤカとキヨテルは、二人で、食事に行った。その日は、アヤカは、こう言った。

「本当は、キヨテルが、頑張っているから、応援したかったのよ」と言った。

 そして、2024年2月14日、アヤカは、キヨテルにキスをした。

 最高のバレンタインデーだったらしい。

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勇気出してinステージ出演 マイペース七瀬 @simichi0505

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