第38話干しいも·茨城県久慈郡大子町

袋田の滝を後にした古賀、近くの町を目指していたが、下りの道でバイクが停まってしまった…。

「あーあ、次の町まで後少しだったのに…」

古賀はバイクを押して歩いた、すると近くにワゴン車に乗りこもうとしている男に出会った。男は古賀に気づいて声をかけた。

「おめぇ、こんなとこで何してる?」

「実は、この電動バイクで旅をしているんですけど、充電切れで停まってしまったんです。」

「あら〜、電気無いのか。家が近くにあるから、寄っていかんか?」

「えっ!?いいんですか!!ありがとうございます!」

古賀は吉田木雄よしだもくおのワゴン車に電動バイクを載せると、そのまま吉田家まで乗せてもらった。そしてバッテリーを充電している間、吉田さんはお茶と干しいもを出してくれた。

「これ、茨城名物の干しいもだ。」

さつまいもといえばやきいもしか食べたことのない古賀だったが、一口食べてみた。

「硬いな……、でも美味い。」

カチコチなイモだけど、食べてみると味があって美味しい。そういえば古賀が子どものころに、ばあちゃんが干しいもをオヤツに出してくれたことがあったけど、あまり美味しくなくて一口しか食べなかった…。

自分も大人になったことを、改めて思いながら干しいもを噛みしめた。

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