2.幼馴染みがやたらイケメンで腹立つのだが!!

 部屋の中を観察する。見たことのないものばかりだ。


羅火らび起きてる?朝ごはん早く食べなさい。急がないと、学校遅刻するわよ」


 女性の呼び声が聞こえてくる。


 羅火とは、俺のことか?


 この歳で、学校か…体は確かに幼子だが。メリスリア国の賢人と名高い俺が、今さら学校に行く羽目になるとは思わなかった。


 しかしこのセカイの学問には、興味がある。とても知識欲が疼いて、胸が弾む。


 …重いと思ったら、本当に弾んでいる。歳不相応というか、それにしても大きいな。


 一体、何を食べたらこんなに。


「ビービービー」


「何じゃ、曲者か?」


 部屋の四角い置物が、唐突に音を鳴らす。


 何だこの四角い置物は?新型の呪物じゃあるまいな。恐る恐る触れると、高級感のある滑らかな手触りに驚く。


 音が鳴り止まん、五月蝿い。む、表面に矢印がでとるな。矢印に沿って指を滑らすと、音が止んだ。


 何だったのだ?


 その瞬間ドアが開けられ、母親らしき人物が入ってきた。


「何やってるの?早く制服に着替えて、ご飯を食べなさい」


「了解致しました女王陛下」


 女性の迫力に気圧され、つい出てしまった返事がこれだ。


「ふざけてないで、急ぎなさいよ」


「はい」


 …着替えるのか、これに?スカート短くないか?俺のセカイの服とは、明らかに異質だ。


 着替えが終わり、朝食を食べに一階へ。


 うぅー、スースーする。屈辱だ。


 そんなことを考えながら、朝食の席に座ると。見たこともない料理が。


 箸で摘まみ、口に運ぶと。


「ウマイ」


 何だこれは、今日一番の驚きだ。


 不味い、涙が出てきた。このロスター一生の不覚、こんな美味しいものは食べたことがない。


「おかわりっ」


「珍しいわね、あなたがおかわりするなんて。まあ育ち盛りですもの、元気が一番」


 食事を食べ終え、玄関に行く。そこで靴に目が行った。


 靴まで精巧な作りだ。やはり貴族の娘のようだな。


「行ってきます」


 挨拶を交わし、外へ出る。眩しい、陽光は変わらずか。


 しかし学校までの道がわからない。


「日野江、おはよう」


 んっ、誰だこいつ?


 突然男に話しかけられ、警戒する。


 ナンパか?


 この男整った顔立ち、腹立つ。よくよく見れば制服のようなものを着ている。


 とりあえず、適当に話を合わせることにした。


「おはよう」


 ちょうどいい、コイツに学校まで案内させよう。


「今日の体育、サッカーだってな」


 サッカーとは?


「俺の活躍見てろよな」


「うん」


「何か日野江、いつもと雰囲気違うな?」


「ソンナコトナイデスヨ」


「そうか?具合悪かったらすぐ言えよ」


 イケメンで腹立つと思ってたら、案外コイツ良い奴だな。

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