異世界陰陽師のJK転生

七星北斗(化物)

1.とりあえず、転生してみた。

 俺は、死んだのか?


 周りは真っ黒で、何も見えない。そんな中を手探りで歩いている。


「呪符が使えん」


 声が全く響かないし、音が聞こえない。


 俺の名前は、ロスター。メリスリア国の専属陰陽師として、長い間お仕えしていた。


 占いが基本的な仕事だったのだが。その日は、王子に怨霊が取り憑いたとの話を聞き。お部屋まで伺ったところまでは覚えている。


 しかしその後の記憶がない。


「ここはどこだ?」


 酷く眠く、体が思うように動かん。夢でも見ているのだうか?


 自分が、歩いているのかもわからない。ただ一つわかったことは、この場所は未知の空間であり、探求心をくすぐられる。


 その後、なにもなく百年の時がすぎた。


 何の欲も満たせない。考える時間だけが無限にある。


 新たな呪術のプロセスを考えたり、呪力の解放を試みた。


 新しい呪術を考えたところで、この空間では呪術を使えない。だから呪力の解放を試みたのだが、不可能である。


 大陸最高峰と、名高い陰陽師である俺でさえ、この場所の解明すらできないのだ。


 まさか呪力の使えない空間に、封印でもされてしまったのだろうか?


 不思議と師匠の顔を思い出す。


「可能と不可能を履き違えるな。この世に万能なものは存在しない」


 これは師匠の言葉だ。


 この空間からでるのは、不可能である。しかし百年の時を過ごし、脱出の糸口を見つけたかもしれない。


 その方法とは、肉体から魂を切り離すというもの。肉体を残したまま、この場所から抜け出すのは不可能だった。


 この空間には、出口というものが存在しない。だが、肉体があるからこそ、出れないのだ。


 この場所では、肉体が腐敗しない。だからおかしかったのだ。


 言ってしまえば、俺は時の間に閉じ込められているということ。


 他にここから出る方法もないため、致し方ない。


 魂のみとなった俺は、神さんが転生なりさせてくれるだろう。


 さらば俺の体、次は健康な体が欲しいものだ。


 俺は、舌を噛みちぎり、次にくる強烈な痛みに苦しんだ。


 そして目を覚ませば、ふかふかのベッドの上にいた。この家は、貴族の豪邸か?


 そう思うのも無理はない。何故ならば、現代日本に転生を果たしたのだから。


 無事に転生できたのは上乗、しかし下腹部に違和感が、正確には股間が。


 しかしなんだこの服は、寝巻きのような。やたら肌触りが良い。そしてずいぶんと可愛らしい格好をしている。


 目の前に大きな姿見鏡があった。近づいて自分の姿を確認する。


 …嘘だろ、誰だこの女は!?


 か細い肢体の少女が、そこには立っていた。


 これが俺っ!?


 よりにもよって、女に転生するとは、信じられない。


 しかし…俺可愛いな。

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