⑰臆病者の駆け引き
レイラは腕をすっと横に伸ばして、血みどろの
「その人たちを解放して、船を明け
彼女は本気だった。
にわかに
しかしすぐに、ダネルは悪意に満ちた
「慣れないマネはよせ。お前は
「…………」
そのつどレイラの顔から血の気が引いた。
目に見えて身体が
それは精神的に追いつめられただけでは説明のつかない
レイラは
「過ぎた
「……ええ、だからうっかりフラついて、海図と一緒に落ちちゃうかもね」
レイラは後ずさりして、さらに不安定な
これ以上近づけばもろとも身を投げるという意思表示であった。
これにはダネルも苦々しく立ち止まざるをえない。
実のところ、鬼という種族は
赤鬼はその驚異的な密度の筋肉が
よっていくらここが
それを
しかしダネルは再び歩みを進めた。
「っ、ちょっと!」
「あんな連中のために死ぬ気か、レイラ?」
「!」
すらりと抜かれた
ダネルは彼女の瞳の奥に、死への恐怖がくすぶっているのを見抜いていた。
「
あまりにも
男が近づくたびに
だがしかし、一瞬船の
男の顔が冷ややかに
「返答は?」
「……
どこかで聞いたような
あっと誰もが息を飲んだ。
まさか本当に死を選ぶとは思っていなかったダネルも、
その瞬間、黒光りする
触れれば
「あー、どっこい」
重い、という文句を
甲板のあちらこちらに横たわる
かたわらでは、息も
「仕事か?
「っ、アンタ、いつも来るのが遅いのよッ」
立つのもままならないくせに
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