⑪海中の攻防
そしてすぐさま身を
化け物は、憎悪と殺意をまき散らしながら、一心不乱に猛進してくるものと思われた。
しかし突然、ヤツの動きがぴたりと止まった。
直後、
ヘドロ状の肉体からいくつもの爪が飛び出し、まるで
みるみるうちに、分厚い
計画どおり――と言いたいところであったが、あの
あんなモノとまともに組み合っては、次こそ確実に死んでしまう。
護身用に
艦隊が密集していたおかげで、ヤツが
同じように、舵の根元へ
――例の宝石のような種である。
数粒残っていたそれがこの場の
しかしそれもあと二粒、無駄にすることはできない。
化け物がこちらへむかってきた。
化け物が二つ目の餌に食いつくのを
のっぺらぼうのひとつが、ずるりと化け物の
気味の悪い光景であった。
本能的な寒気と、いくつもの
今は化け物の正体についてあれこれと謎解きをしている場合ではない。
三隻目は少し離れた地点に
比例して泳ぐ速度も目に見えて遅くなり、無事に
息も限界である。
すぐに海面へと顔を出し、船の側面へ指をかけ、化け物から距離をとる。
直後に船が衝撃で揺れた。
三隻とも、船上では原因不明の
さすがは本国直属の観測部隊だけあって、ひとりの上官らしき男のもと、的確に状況把握に動いている。
これはもうひと働きすべきか、と戦略を
「!」
わずかな木目の隙間に身体をあずけた状態での回避である、
化け物本体ではなく、どうやら産み落とされた
小さなヘドロの
抜けないのかヘドロが不気味にうごめいている隙をみて、少しでも離れようと上へ手をかける。
だがしかし、物音を聞きつけた船員がひとり船べりから顔を出した。
「いたぞ!
「げっ」
複数の足音が
瞬時に海中か甲板か、化け物か鬼かを
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます