⑨天地人
「百かぞえる内に作戦を考えろ」
天の時、地の利、人の和――。
しかしながら現時点において、以上すべてが赤鬼勢力に
特に天の時は、
一方こちらの戦力は、武器を持ったこともないような者が大半の青っちろい
まともに応戦してもまず勝ち目はない。
すなわち、いかに素早く行動できるかが運命の
だがしかし、地の利もまた、この小さな部屋をのぞいた盤上のすべてが赤一色で埋め尽くされている状況である。
逆転の策を練らなければ、勝ち
最後の頼みの
これは
しかし幸いにして、この場にはふたりの優秀な人材がいた。
トトと初老の航海士である。
船の内部構造を誰よりも知り尽くしている老人は、即座に
戦闘に不慣れな青鬼たちの多くは、トトが
ゆえに彼らは疑念を抱くことなく、真剣に小さな戦士の
海賊の
むろん、勇気と
かの
そこから
――人の和は得た。
ゆえに
* * *
突如として、耳を
部屋の内側で、発狂した
もちろん演技である。
しかし全数十名による
捕虜の
そして
老人に教わったとおりに船内を駆け抜け、甲板へと踊り出る。
当然目立つはずであったが、足音もなく一切の無駄を
運悪く真正面から彼と
一斉に甲板にいたすべての視線が集まる。
しかしその時にはすでに、
あいにくと
それでもささやかながらに吹く風は、帆を
「時を
遅れて甲板に現れた航海士が、後に続く者たちへ力強い
「
――
「ひい、ふう、みい……――多いわボケェ」
吐いた
この瞬間、彼がいなくなったことに気づけた者は誰ひとりとしていなかった。
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