⑧反撃の狼煙
「俺は西大陸へ行くぞ」
赤鬼の
だが、たとえどれほど
ここで身を捨てに行かなければ、
「死にたくなければじっとしていろ。たとえしくじっても、俺は鬼ではないからな。仲間ではないと言い張れば、アンタらの
あまりにもさらりと自分の死後について語るので、青鬼たちは数秒の間、
台詞の内容を正しく解釈するのに
しかしながらひとりだけ、
「トトも
気持ちいいほどに打てば響くような
ぎょっと目をむく青鬼たちの
どうにも
「一応
トトはつぶらな瞳をしぱしぱと
「トトはシノ
今度は
一方、島民の何人かは、トトの言葉にハッと顔をあげた。
「このまま海図が奪われてしまえば、
恐怖で
西大陸に
ここにいる全員があの場所を目指し、死を覚悟で海へ出たのだ。
その情熱は、
トトは並々ならぬ決意と、深い
「昨夜、トトはシノ殿に嘘をつきました」
「嘘?」
「ミクトランを
赤鬼からかつての故郷・ミクトランを取り戻したという
岩と砂だらけの
――そして、都市はたちまちの内に
これまで厳しい生活であるがゆえにお互いが助け合い、貧しいながらも温かな
特にミクトラン
「トトはとんだ
しかしついに、同族が同族を殺害する事件が起きた。
奪還戦を生き残ったトトの最後の友人が、
彼の死が
トトは、友や親兄弟の命を
そうして、
「
「そうか……」
なんだか、もの
しかし、とてもそうは言いづらい空気であった。
彼の話を聞いて、仲間の裏切りに
もはやこの場に、無気力にうなだれてヤツらの
静かに立ちあがった青鬼たちを見て、
「あー、一応
「わかってんなら
他の者も自由の大地を
ならば、
「そういうおめぇはどうなんだ」
「……ん?」
「鬼でもねぇ、
これからお互いに背中をあずけ合うのである。
「そうさな、ひとまずは酒だ。西の大陸の
「は?」
「ああそれと、――アイツらの泣きっ
「…………」
赤鬼と五十歩百歩なえげつない
――はなはだ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます