②混血の諜者
冷めた表情で男の横へ並び立つレイラに、
嫌悪や
その
「ダネル! お前、五年も島で暮らしていたくせに裏切るのか!?」
「
「俺たちをずっとだましていたんだな!」
良心を疑う
男は
低い、悪意に富んだ
「これだから貴様らは
「たかだか海を
赤鬼を想わせる大きな手が、掴んだ頭の軽さを
耳を
水を打ったように室内が静まり返った。
「
「っ、まさか」
船乗りである初老の青鬼が、みるみるうちに顔色を変えた。
望みどおりの反応を得て、男は楽しげににんまりと口の端を引き上げてみせた。
「まったくおめでたい連中だよ。貴様らがあの陰気な
食堂で
忍者の中にも、
彼らは総じて
この男も、ずいぶんと
長年腹の底に隠してきた
西大陸直前に横たわる
なぜなら、
日や時間ごとに、海流の構造ががらりと変化してしまうためだ。
だがしかし、
すなわち――。
男は腰にさげた
初老の青鬼が
「それは! 迷路海流の海図!?」
「コイツを探し出すのに五年もかかってしまった。
先ほど
青鬼ほど赤鬼の野心をよく知る種族はいない。
この世に生を受けた瞬間から奴隷として
特に、
だからこそ、彼らは正しく絶望した。
西大陸が赤鬼に
そんな直視しがたい絵図が、本国での
「まもなく本国の船と合流する。なァに、心配することはない。指揮官は
「この、
老人が叫んだ直後、男は顔面を
「言葉は
どこまでも
しかし
「なめるなよ
わずかに男の
絶望を切り裂く
二の矢、三の矢が
「馬鹿にするんじゃねえ!」
「国へ連れ戻されるくらいなら、いっそ死んだ方がマシだ!」
「そんな
「海へ出た時に、とうに捨ててるのよ。
「テメェこそ死んじまえ! 汚らわしい
最後に言葉を投げた青鬼の青年が、
「……つくづく、頭の悪い
男は剣についた血を、無感動に老人の服でぬぐった。
「もう一度だけ機会をやろう。貴様が喜んで我々に協力すると言うのであれば、他の
「頭を冷やす時間をやろう。本国の船と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます